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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ヒストリカル

騎士への贈り物

騎士への贈り物


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジュリエット・ランドン(Juliet Landon)
 イギリス北部の古代の面影を残す村に、引退した科学者の夫とともに住む。美術や歴史に対する興味が旺盛で、豊かな想像力が生きると思い、ヒストリカルの小説を書き始めた。作品を執筆するために調べ物をするのはとても楽しいと語り、特に中世初期がお気に入りの時代だという。刺繍について豊富な知識と技術を身につけ、その腕前はプロとして講師を務めるほど。

解説

 ★もう騎士には近づかない。彼を呪いの犠牲者にしないために。★
 エロイーズに近づく騎士は呪われる。そう噂されていた。彼女はこれまで二度婚約したが、二度とも婚約者が亡くなり、義兄に強いられて結婚すると、その夫までが馬上槍試合で命を落とした。彼女は夫の死に、騎士のサー・オーウェンが関係しているのではないかと疑っていた。かつてエロイーズに求婚しながら、何も言わずに姿を消した男性だ。城で再会した彼には、相変わらず魅惑的な雰囲気があった。でも、呪いをこれ以上広めないため、わたしはもう、騎士に近づいてはいけないわ。

抄録

「わたしは卑怯なまねなどしていない。あれは試合で認められている攻撃法だ」サー・オーウェンは鎧をつけたままだったが、あれから頭を手桶の水に突っ込んだのか、濡れた髪はきちんと櫛で撫でつけられ、顔についた血や汗もきれいにぬぐわれていた。濡れて輝く黒髪と、男らしく精悍な顔立ちは、宮廷に仕える騎士というよりむしろ、当代随一の戦士そのものだった。
 エロイーズは危うく彼の魅力に圧倒されそうになった。「そのことを言っているのではないわ」彼女は言い返した。「兄が手足を折ったのは、ほかでもない兄の責任よ。わたしはあなたがわたしの意思を無視したことを言っているの。わたしはだれにも記念の贈り物を渡すつもりはなかった。とりわけ、今日という日には。あなたはわたしの気持ちを知りながら……だめよ、来ないで!」
 サー・オーウェンはゆっくりとエロイーズに近づいてきた。いずれ立ち止まるだろうと思っていた彼女の期待は見事にはずれた。彼はエロイーズの前まで来ると、目にも留まらぬ早さで手首をつかみ、外衣の下につけた鎧の板金を押しつけるようにして強く抱き締めた。エロイーズが思わず頭をのけぞらせると、彼はすかさず言った。
「もちろん、きみの気持ちはわかっている。あれだけはっきり言われたのだ、わからないはずがないではないか。今度はきみがわたしの気持ちに気づく番だ。これならもっとよくわかってもらえるだろう」サー・オーウェンはエロイーズの返事を待たずに、彼女の太い三つ編みの根元を片手でつかんで頭を押さえつけると、いきなり唇を奪った。
 エロイーズはほのかにいい香りのする羽根入りマットレスの上で、彼の優しい腕に抱かれて身もとろけるようなひとときを過ごすことを夢見ていた。でも実際は、痛いほど強く抱き締められ、火鉢の火だけで明かりもない、むっとするにおいが立ち込めているなかでこんなことをされるなんて。夢にはほど遠かったものの、勝利に酔った血の気の多い戦士に女心がわかるはずもなかった。
 サー・オーウェンはわずかに唇を離し、エロイーズの唇に唇をかすめるようにしてささやいた。「これではっきりわかってもらえたかな? わたしの友人や召使いの前で二度とあのようなことはしないように。わたしはきみの贈り物をずっと腕に巻いている。はずすつもりなどない。わたしがきみの挑戦を無視するとでも思ったのか?」サー・オーウェンはエロイーズに答える間を与えず、再び彼女に口づけをした。その瞬間、彼の言葉によって引き起こされたエロイーズの怒りは潮が引くように消えた。
 サー・オーウェンのキスは想像していたとおり巧みで、亡き夫サー・ピアズのキスがぎごちなく感じられるほどだった。美しい音を奏でて人々を酔わせる竪琴奏者と、大声でがなり立てているだけの少年聖歌隊ほども差があった。彼がこれまでかかわってきた数えきれないほど多くの女性のようになってもいいの? 理性の声がそうささやくのが聞こえた。だが、気づいたときには、エロイーズは彼のキスに応えていた。サー・オーウェンの肩に腕をまわそうとしたとき、ふいに彼の言葉がよみがえった。
「挑戦?」エロイーズは無理やり唇を離して、息を切らしながら言った。「あなたは挑戦に取りつかれているんだわ。確かにゆうべあなたに警告されたけれど、わたしはあれほどまで侮辱されるいわれはないわ。放して!」エロイーズは手の甲で唇をぬぐい、体をねじってサー・オーウェンの腕を振りほどこうとした。
「きみを侮辱した?」サー・オーウェンは両腕を下ろした。「きみはそんなふうに思っていたのか? わたしがきみの記念の贈り物を身につけるのは、きみに対する侮辱だと言うのか?」
 サー・オーウェンの槍の穂先でひらひら揺れていたピンクの飾り布。人々の好奇の視線や笑い声。それを思い出しただけで、エロイーズの目に怒りの涙が込み上げた。「あなたは目が見えないの? 耳が聞こえないの? あそこにいる人たちがどう思ったか知らないとは言わせないわ」彼女は語気を強めて言った。「あのどよめきはあなたの耳にも届いたはずよ。でも、あなたはわたしがどれほど恥ずかしい思いをしているか、まるで考えていなかった。夫の命日に、しかも夫の死にかかわりのある男性がわたしの記念の贈り物をつけて誇らしげに馬を乗りまわしているのよ。わたしの気持ちなどまったく頭になかったんでしょう? あなたがわたしにほかにどんな罰を与えようとしているのかわからないけれど、あれ以上屈辱的な罰はないでしょうね。明日もまたつけるつもりなら、止めはしないわ。どうぞご自由に。でも、わたしはその場にはいませんから。明日は試合を観戦するつもりはありませんので」

*この続きは製品版でお楽しみください。

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