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しとめたのはあなた

しとめたのはあなた


発行: ハーレクイン
レーベル: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジェシカ・ハート(Jessica Hart)
 ガーナ生まれだがイングランド、オクスフォードシャーの田舎育ち。土木技師として外国で働く父親に会うため、休暇ごとにアフリカ各地やニューギニアを訪れた。大学卒業後はウエイトレスから英語の教師まで、数多くの職業に就き、海外生活も経験した。現在はイングランド北部に暮らす。

解説

 フレイアは平凡な毎日にいや気がさしている。そこで、二十七歳の誕生日を前に“危険な火遊び”をすることにした。お相手として選んだのはダン・フリーア。彼女の働く新聞にも寄稿している、とびきりハンサムな敏腕記者だ。自宅で誕生日パーティを開くことにして、フレイアは彼を招待するが、驚くほど簡単に誘惑作戦は成功した。「二人きりになれる場所を探そうよ」ダンに耳元でささやかれ、抱き寄せられると、期待で胸がふくらんだ。ついに大人の恋ができるんだわ。しかし次の瞬間、部屋に入ってきた男性を見て彼女は目を見張った。マックス……。親友の兄マックスとは昔からの知り合いだ。だが六年前のある出来事をきっかけに、フレイアは彼を避けてきた。悪夢よ。そう思ったとたん、フレイアはその場で気を失った。

抄録

 ダンは一晩じゅうフレイアをすばらしいとほめそやしていたが、今はテーブル越しに彼女の手を握り、グラスの縁の上から魅惑的なディープブラウンの目で彼女を見つめていた。「ぼくは、赤いドレスを着たきみを見たときからずっときみのことを考えていたんだ」魅惑的な低音で言った。「今夜もそれを着ていてくれてうれしいよ。ものすごくセクシーだ」
 うれしい言葉だが、フレイアはなぜかセクシーな気分になれなかった。反省し、もっと努力をすべきだと心から思う。がっしりとした顎、ブラウンの瞳、晴れやかなほほ笑み。この人はわたしが今まで出会った中でいちばんハンサムな人よ。額にかかった後れ毛がチャーミングで、白い歯がまぶしい。それに……。
「行こう」ダンがそっと言った。
 二人でダンの車に戻るとき、彼はフレイアの腰に腕を回した。フレイアは期待と興奮で胸がどきどきするのを感じ、ほっとした。やっと、だわ!
 それに、今回は、本当に事が起きようとしている。張りつめた沈黙と、薄いドレスを通して感じるダンの手の感触から、フレイアにはそれがわかった。わたし、フレイア・キングはダンと一緒に帰宅する。しかるべきときに、しかるべき場所にいる。しかるべき気分で、しかるべき男性と。
 ダンが車の中でキスをしてくると、フレイアは熱心に応えた。ダンはフレイアが急に情熱的になったことに驚いていたようだが、喜んでもいた。フレイアのドレスの下にダンが手をすべらせようとしたとき、ぴいっと甲高い音が車内に轟いた。
 いいところでじゃまされたフレイアは泣きたいくらいだった。ダンはくぐもった声でののしりの言葉を吐き、携帯電話を手探りしたが、画面を見るやいなや外信部からの電話に出た。フレイアはドレスの乱れを直そうとしたが、失敗した。情熱的な恋人だったダンが即座に冷静な記者に戻ったことに驚き、いささか狼狽した。
「了解……了解……了解」ダンはそう言いつづけた。「最初のフライトは何時かな? え、何時だって?」腕時計を見た。「なんとか間に合わせるよ。チェックイン・カウンターに切符を預けておいてくれ」電話をすばやく切り、ギヤを入れる。「フレイア、ぼくは行かなければならない」
「何があったの?」
 車がタイヤをきしませながら走り出した。「ザンビアでダイヤモンド鉱山が爆発したんだ。特だねになるかもしれない。今夜あっちに行くんだ」
 気持ちの上ではもうあっちに着いている、とフレイアは思った。
「ねえ、ビクトリアできみを降ろしていいかな?」ダンがまた腕時計を見ながら言った。「ビクトリアはここからそう遠くないし、そこでタクシーを拾えるから」申し訳なさそうにつけ足した。「きみをこんな目にあわせたくないんだけど、予定の飛行機に乗り遅れると……」
「もちろん、かまわないわ」ほかに言いようがなかった。フレイアは自分が失望すると同時に内心ほっとしていることに気づき、ぞっとした。「ねえ、ここで降ろして。わたしは大丈夫だから」
「ほんとに?」ダンはすでに車を止め、ドアを開けようと身を乗り出している。フレイアの気が変わる暇もなかった。「わかってもらってうれしいよ」感謝を込めてそう言い、キスしたが、あっけないキスだった。明らかに一刻も早く出発したがっている。「電話するよ、いいね?」
 フレイアは歩道に立った。窓越しにさよならを言おうとして身をかがめたが、ダンはバックミラーで車の流れをチェックし、すでに歩道から離れようとしていた。車は暗い通りを走り抜け、すばやく角を曲がって消えた。
 フレイアは別れのあいさつをしようと上げていた手をむなしく下ろした。わたしは二度とセックスができない運命なの? そう思い、ため息をつく。まあ、いいわ。でも、ここはどこかしら? あたりを見回すと静かな住宅街で、当然タクシーは走っていない。方向がわかれば、ビクトリアに向かって歩くところだが。
 いやだ。迷子になっちゃった。そう思ってから、さらにまずいことに気づいた。あんまり急いでダンの車から降りたのでバッグを置き忘れてしまった。今ごろダンの車はヒースロー空港までの道をひた走っているに違いない。フレイアはお金もなく、鍵もなく、方向感覚さえなかった。
「悲観することないわ」声に出して言った。「これ以上悪くなることはないんですもの」
 ところが、それを合図に頭上で雷が鳴り出し、大粒の雨が歩道を激しくたたきはじめた。
「最高ね」フレイアはため息をつきながら言った。こうなったら、タクシーを止めて、家まで乗せていってほしいと運転手に拝み倒すしかない。まず、テームズ川沿いの道を見つけることだ。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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