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発行: ハーレクイン
レーベル: ハーレクイン・ディザイア
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和書>小説・ノンフィクション>ハーレクイン>ハーレクイン・ディザイア

理由なき情熱
著: アン・マリー・ウィンストン 翻訳: 泉智子発行: ハーレクイン
レーベル: ハーレクイン・ディザイア
価格:500pt
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレットみんなの評価 (未評価)
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著者プロフィール
アン・マリー・ウィンストン(Anne Marie Winston)
ベストセラー作家で、“ロマンス小説界のオスカー賞”ともいわれるRITA賞の最終候補者にもなった経歴を持つ。赤ん坊やあらゆるタイプの動物、これから開花しようとするものすべてを愛し、執筆活動以外の時間は、子供たちの運転手や読書をして過ごす。ちょっとした刺激ですぐに踊りだしてしまう陽気な性格。庭の手入れは、雑草で太陽が見えなくなってからするという。
ベストセラー作家で、“ロマンス小説界のオスカー賞”ともいわれるRITA賞の最終候補者にもなった経歴を持つ。赤ん坊やあらゆるタイプの動物、これから開花しようとするものすべてを愛し、執筆活動以外の時間は、子供たちの運転手や読書をして過ごす。ちょっとした刺激ですぐに踊りだしてしまう陽気な性格。庭の手入れは、雑草で太陽が見えなくなってからするという。
解説
★出会えた幸運に感謝していたのに、最も会いたくない人だったなんて。★
心臓移植のためのチャリティー・パーティーで、キャサリンは謎めいた男性にダンスを申し込まれた。グレイと名乗る彼は、新聞にも載るほどの有名建築家だった。間違いなく初対面のはずなのに、なぜか彼に自分のことを知られている気がしてならない。魅惑的な笑顔に惹かれる半面、不穏な胸騒ぎを覚えたキャサリンだったが、成り行きで彼の新居が完成するまで自宅の離れを貸すことになった。グレイが胸に秘めている、彼女に近づいた本当の目的も知らずに……。
心臓移植のためのチャリティー・パーティーで、キャサリンは謎めいた男性にダンスを申し込まれた。グレイと名乗る彼は、新聞にも載るほどの有名建築家だった。間違いなく初対面のはずなのに、なぜか彼に自分のことを知られている気がしてならない。魅惑的な笑顔に惹かれる半面、不穏な胸騒ぎを覚えたキャサリンだったが、成り行きで彼の新居が完成するまで自宅の離れを貸すことになった。グレイが胸に秘めている、彼女に近づいた本当の目的も知らずに……。
抄録
「ごめんなさいね」キャサリンは穏やかに言った。
庭を見つめていたグレイが、急に顔を上げた。夕闇の中でもその目がこちらをしっかりと見つめているのが感じ取れる。「何に対して?」
「わかるでしょう」キャサリンは疲れた口調で言った。パッツィのたくらみから逃れる苦労をするのも、もううんざりだった。「わたし、お客様をもてなすときに、愛想がいいとは言いがたい態度をとってしまうことがよくあるの。でも、それはただ……」よく知りもしない男性に心を打ち明けようとしていることに遅まきながら気がつき、キャサリンは危うく舌を噛みそうになるほどあわてて口を閉じた。
「ただ何?」グレイの落ち着いたバリトンの声が、たそがれに響いた。
キャサリンはため息をついた。「なんでもないわ」
グレイは黙り込んだ。キャサリンはくるりと背を向け、庭を見渡した。白いクレマチスの花が、プールへ通じるゲートを囲むトレリスをつたい登り、まるで内側から光を放っているように輝いていた。
「ただ、何?」グレイは再び尋ねた。それと同時に大きな手をキャサリンの両肩にかけ、肩を揉みほぐし始めた。
キャサリンは思わず飛び上がりそうになった。グレイが近づいている音にまったく気づいていなかった。反射的に体を離そうとしたが、彼の手はなだめるようなリズムを刻み続けている。親指は、知らないうちにこわばっていた首のつけ根を、円を描くようにさすっていた。
グレイがキャサリンの体に触れたのは、あのダンス以来初めてのことだった。濃さを増していく夕闇の中で、その行為はとてつもなく親密に感じられた。
「じっとして」グレイは言った。「きみの肩はコンクリートで固められたみたいだ」
「凝って……いるの」歯ががちがちと鳴り、神経はこれまで以上にぴんと張りつめた。キャサリンは黙って立ったまま、グレイの手の下でじっとして、彼の指が生地にこすれる音に耳を傾けた。キャサリンの頭上で、彼の息遣いは二人を包む夜のしじまの中に大きく響いた。
グレイはキャサリンの髪の中に親指をくぐらせて尋ねた。「どうしてそんなに緊張しているんだい?」
「あなたのせいよ」
彼の指が、はたと動きを止めた。言葉も返ってこない。
キャサリンは、うっかり口をすべらせたことをたちまち後悔した。何を考えているの? 彼はわが家の客人なのよ。それ以上でも、以下でもない。「つまり――」
「しいっ」グレイはキャサリンの肩に手を置いたまま言った。そして優しく自分のほうへ向かせると、彼女の唇に人差し指を当てた。もう片方の手をうなじにあてがい、長い指を耳のすぐ後ろの髪の中にすべらせていく。「わかっているよ。ぼくだってきみの前では緊張するからね」
キャサリンは両手を上げて、グレイのたくましい手首をつかんだ。彼を引き離そうとしているの? 自分が何をしているのか、もはやわからなくなっていた。
「キャサリン」グレイの声は低くかすれて、欲望に満ちていた。「きみにキスせずにはいられない」
変な言い方だったが、彼の気持ちは手に取るようにわかった。グレイが身をかがめると、キャサリンは、そうしないではいられないかのように顔を上げた。そして、荒れ狂う嵐の海で命綱にすがるように、彼の手首をしっかりと握った。指の下にある彼の腕は、筋肉質でがっしりしている。髪はこしがあって、男らしい匂いが心をそそった。
グレイと唇が触れ合った瞬間、キャサリンは自分にうそをついていたことを悟った。グレイは、パッツィの単なる客人、コテージの賃借人という存在をはるかに超えている。危険な人。欲望をそそる人。彼こそは、わたしがかつては手にしていたもの。一瞬の惨事によって残酷に奪い取られ、この二年間は手にできなかったもの。本音を言えば、それ以上の存在だった。
グレイは、親しくはないのに親近感があった。やけに長身の、見知らぬ人なのに、どういうわけか彼の腕に抱かれたことがあるように感じた。夫より体格はよく、がっしりしているが、抱き締められても違和感がなく、しっかり引き寄せられると体が熱に包まれた。
グレイは片手でキャサリンの背中を支え、もう片方の手を頭にすべらせ、てのひらで包み込んだそのしぐさは、安心できて心地がよかった。まるで何百回も抱擁を重ねてきたように。そして、体の緊張が瞬時にほぐれた。
グレイの唇が唇にぴったり重ねられると、キャサリンはやみくもに彼にしがみついた。グレイに触れられて、体が活気づいている。こんなことは本当に久しぶりだ……。喜びの声が喉からかすかにもれるのを抑えることができなかった。焼きつくすように激しいグレイのキスに、まだ完全には反応していないもう一人の自分がどこかにいて、キャサリンを驚きの目で見つめていた。
*この続きは製品版でお楽しみください。
庭を見つめていたグレイが、急に顔を上げた。夕闇の中でもその目がこちらをしっかりと見つめているのが感じ取れる。「何に対して?」
「わかるでしょう」キャサリンは疲れた口調で言った。パッツィのたくらみから逃れる苦労をするのも、もううんざりだった。「わたし、お客様をもてなすときに、愛想がいいとは言いがたい態度をとってしまうことがよくあるの。でも、それはただ……」よく知りもしない男性に心を打ち明けようとしていることに遅まきながら気がつき、キャサリンは危うく舌を噛みそうになるほどあわてて口を閉じた。
「ただ何?」グレイの落ち着いたバリトンの声が、たそがれに響いた。
キャサリンはため息をついた。「なんでもないわ」
グレイは黙り込んだ。キャサリンはくるりと背を向け、庭を見渡した。白いクレマチスの花が、プールへ通じるゲートを囲むトレリスをつたい登り、まるで内側から光を放っているように輝いていた。
「ただ、何?」グレイは再び尋ねた。それと同時に大きな手をキャサリンの両肩にかけ、肩を揉みほぐし始めた。
キャサリンは思わず飛び上がりそうになった。グレイが近づいている音にまったく気づいていなかった。反射的に体を離そうとしたが、彼の手はなだめるようなリズムを刻み続けている。親指は、知らないうちにこわばっていた首のつけ根を、円を描くようにさすっていた。
グレイがキャサリンの体に触れたのは、あのダンス以来初めてのことだった。濃さを増していく夕闇の中で、その行為はとてつもなく親密に感じられた。
「じっとして」グレイは言った。「きみの肩はコンクリートで固められたみたいだ」
「凝って……いるの」歯ががちがちと鳴り、神経はこれまで以上にぴんと張りつめた。キャサリンは黙って立ったまま、グレイの手の下でじっとして、彼の指が生地にこすれる音に耳を傾けた。キャサリンの頭上で、彼の息遣いは二人を包む夜のしじまの中に大きく響いた。
グレイはキャサリンの髪の中に親指をくぐらせて尋ねた。「どうしてそんなに緊張しているんだい?」
「あなたのせいよ」
彼の指が、はたと動きを止めた。言葉も返ってこない。
キャサリンは、うっかり口をすべらせたことをたちまち後悔した。何を考えているの? 彼はわが家の客人なのよ。それ以上でも、以下でもない。「つまり――」
「しいっ」グレイはキャサリンの肩に手を置いたまま言った。そして優しく自分のほうへ向かせると、彼女の唇に人差し指を当てた。もう片方の手をうなじにあてがい、長い指を耳のすぐ後ろの髪の中にすべらせていく。「わかっているよ。ぼくだってきみの前では緊張するからね」
キャサリンは両手を上げて、グレイのたくましい手首をつかんだ。彼を引き離そうとしているの? 自分が何をしているのか、もはやわからなくなっていた。
「キャサリン」グレイの声は低くかすれて、欲望に満ちていた。「きみにキスせずにはいられない」
変な言い方だったが、彼の気持ちは手に取るようにわかった。グレイが身をかがめると、キャサリンは、そうしないではいられないかのように顔を上げた。そして、荒れ狂う嵐の海で命綱にすがるように、彼の手首をしっかりと握った。指の下にある彼の腕は、筋肉質でがっしりしている。髪はこしがあって、男らしい匂いが心をそそった。
グレイと唇が触れ合った瞬間、キャサリンは自分にうそをついていたことを悟った。グレイは、パッツィの単なる客人、コテージの賃借人という存在をはるかに超えている。危険な人。欲望をそそる人。彼こそは、わたしがかつては手にしていたもの。一瞬の惨事によって残酷に奪い取られ、この二年間は手にできなかったもの。本音を言えば、それ以上の存在だった。
グレイは、親しくはないのに親近感があった。やけに長身の、見知らぬ人なのに、どういうわけか彼の腕に抱かれたことがあるように感じた。夫より体格はよく、がっしりしているが、抱き締められても違和感がなく、しっかり引き寄せられると体が熱に包まれた。
グレイは片手でキャサリンの背中を支え、もう片方の手を頭にすべらせ、てのひらで包み込んだそのしぐさは、安心できて心地がよかった。まるで何百回も抱擁を重ねてきたように。そして、体の緊張が瞬時にほぐれた。
グレイの唇が唇にぴったり重ねられると、キャサリンはやみくもに彼にしがみついた。グレイに触れられて、体が活気づいている。こんなことは本当に久しぶりだ……。喜びの声が喉からかすかにもれるのを抑えることができなかった。焼きつくすように激しいグレイのキスに、まだ完全には反応していないもう一人の自分がどこかにいて、キャサリンを驚きの目で見つめていた。
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