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珊瑚礁の恋人

珊瑚礁の恋人


発行: ハーレクイン
レーベル: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 マーガレット・ウェイ(Margaret Way)
 書くことが大好き。息子がまだ赤ちゃんのころから小説を書きはじめ、今では執筆しているときが彼女のいちばん充実した時間になっている。楽しみは仕事の合間を縫って画廊やオークションに出かけること。また、シャンパンには目がない。オーストラリアのブリスベーン市街を見下ろす小高い丘にある家が彼女の安息所である。

解説

 シドニーでインテリアデザイナーとして活躍しているジョージアは、働きすぎから体調をくずしてしまい、療養のために、伯父がサンセットという島で経営するリゾートへ行くことにした。珊瑚礁に囲まれた美しい島で長年事業を続けてきた伯父も、愛妻の死後、いまひとつ元気がなく、慰めてあげるいい機会だ。空港へ向かう途中彼女は、ハンサムだが威圧的な男性と、タクシーを相乗りする羽目になった。この人はわたしの父と同じ種類の人間だわ。支配的な父親に反抗して育った彼女は、たちまち彼に反感を覚える。島に向かう機内でも隣り合わせたリンク・ロバーズというその男性が、ホテル業界の有力者の息子と知り、彼女はいやな感じがした。もしや伯父の事業を買収するつもりでは?

抄録

 ジョージアの近くで、リンクが蝶のような魚に手を伸ばした。深い紫色で、羽のようなひれを盛んに動かしている。怖がらせなければ、海中生物はすぐにこちらの存在を受け入れてくれる。
 ジョージアとリンクはたがいの安全を考えてなるべく近くにいた。もぐる範囲や時間は決めてある。オーストラリア大陸の多雨林同様、珊瑚のジャングルの中でも迷子になるのは簡単だ。ガラスのように透き通った水中では、深さを正確に把握するのがむずかしく、深くもぐりすぎてしまいやすい。また海中があまりに美しいため、つい時間を忘れてしまいがちになる。珊瑚に近づきすぎないように注意することも必要だ。潜水用具が引っかかってしまう危険が常にある。
 頭上で待っているヨットは国際ダイバーの旗を掲げている。ジョージアとリンクは潮の速さに注意しながらヨットから離れた。ふたりともウエットスーツを着ていない。熱帯の海では、ウエットスーツを着ていては暑くなるからだ。ジョージアはビキニの上に軽い素材のスイムシャツを身につけ、リンクは古いシャツとショートパンツという格好だった。それだけでも、万が一流されて珊瑚に触れてもいくらか体を保護してくれる。いまは流れは穏やかだった。
 ふたりは海中の探検に心を奪われた。さまざまな形や色の大きな花が咲き乱れる、美しく不思議な幻想の世界だ。あらゆる種類の珊瑚がある。ピンク、オレンジ、朱、濃淡の紫、鮮やかな緑。信じられない光景を目の前にして、ジョージアはSF小説の世界にでもいるような気分だった。
 珊瑚の割れ目やくぼみには海綿動物が列をなしていた。バスルームで使う海綿《スポンジ》とは違い、形も色もさまざまだ。鎧をつけた格好の甲殻類も驚くほど多種多様で、オパールのように輝く生物が、石化した森の奥へあわてて逃げていくのが見えた。生物が豊富なことが、グレート・バリア・リーフの魅力のひとつだ。海中生物が豊かなインド洋と西太平洋にはさまれた好立地のおかげだろう。
 魚たちといると、時間は飛ぶように過ぎる。二匹で組んで行動するバタフライ・フィッシュのように、ジョージアとリンクは一緒に泳いだ。リンクがダイバーズ・ウォッチを指差して上がる時間だと合図して間もなく、ふたりは思いがけない危険に出遭った。海は美しいだけではなく恐ろしい場所でもある。潜水中にも、海蛇やうなぎ、えいなどの大きな魚を目にした。そしていまふたりの前に、長さが六メートルもありそうないたち鮫が現れた。
 いたち鮫は塔のようにそそり立つ珊瑚の陰から、ふたりに向かってまっすぐ泳いできた。噂どおりの恐ろしい姿だ。実際は、鮫が静かな緑の領域に侵入してきたダイバーを気にすることはないというのだが、それでも心臓が止まりそうな一瞬だった。ジョージアはすぐに、クイーンズランドの海域では鮫による惨事が起きているが、自然の餌の豊富なグレート・バリア・リーフではほとんどないことを思い出した。鮫が数メートルのところまで迫ってくると、ふたりは手をたたきはじめた。鮫はその音に驚いたらしく、目の前で弧を描いて向きを変え、白い水泡を上げながら去った。
 ふたりは時間どおりにボートへ戻った。扱いにくい潜水用具を片づけるあいだずっと無言で、海猫の鳴き声とふたりの荒い息遣いだけがあたりに聞こえていた。
「ずいぶん度胸がいいね」ジョージアが足ひれをはずすのを身をかがめて手伝いながら、ようやくリンクが口を開いた。
 危険が去ったいま、ジョージアには軽口をたたく余裕があった。「動けなくなるとでも思ったの?」
 リンクがジョージアを見つめた。その表情は計り知れない。怒っているのか、感心しているのか。どちらだろう?「きみが熟練したダイバーだというのはわかったが、いたち鮫は恐ろしい生き物だ」
た。「わかってるわ。でもあなただって、鮫が襲ってきたりはしないって知っているでしょう。ここでは餌が充分にあるから」
「笑い事じゃないんだぞ」
「いったいどうしたのよ」ジョージアは当惑してリンクを見た。まばゆいばかりの青空を背景に、リンクの力強くて男らしい体が黒いシルエットになって浮き上がる。
 その場の雰囲気をやわらげようとしたらしく、彼は肩をすくめた。「自分でもおかしいんだ。とにかくあのとき、ぼくは自分よりきみが心配だった」
「うまく対処したでしょう?」
「ああ。よくやったと言うべきだろうね」リンクはジョージアの横のベンチに腰を下ろした。
「どうしたの?」
 リンクはジョージアの顎をとらえて自分のほうへ向けさせた。ジョージアのふっくらとした唇を見つめ、低くささやいた。「きみはまさしくネプチューンの娘だよ」
 全身から力が抜けてしまったようで、ジョージアは身動きもできなかった。リンクが彼女の喉元へ指をすべらせ、唇を唇へ寄せる。長く情熱的な口づけに、ジョージアは心を激しく揺さぶられた。キスの意味を取り違えてはいけないわ。これは何事もなくてよかった、危険をともに切り抜けられてよかったというだけのキスよ。だがジョージアの心の奥底では、リンクに人生を変えられてしまうかもしれないという強烈な思いが渦巻いていた。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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