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竜の秘宝を抱く乙女

竜の秘宝を抱く乙女


発行: ハーレクイン
レーベル: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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著者プロフィール

 デボラ・シモンズ(Deborah Simmons)
 日本では『狼を愛した姫君』でデビュー以来、ナンバーワンの人気を誇る作家。ディ・バラ家やド・レーシ家の面々を主人公に据えた中世の物語と、華やかなイギリス摂政期(十九世紀初頭)の物語を描き分ける。「どの作品もそれぞれ個性の際立ったものに仕上がるよう心がけている」と語る。夫と息子二人、猫二匹と迷い犬とともに、米オハイオ州に在住。

解説

 キャンピオン伯爵家の息子レイノルド・ディ・バラは、次々に結婚する兄たちから逃げるように城を出ていく決意をした。だが、結婚を“呪い”のように恐れているわけではない。どれほど望んでも、足の悪い自分には叶わぬ望みなのだから。密かに旅立つ朝、レイノルドは親類の老姉妹から妙な予言をされる。あなたはドラゴンを退治し、窮地に陥った乙女を救う運命だ、と。一笑に付したものの、人けのない不気味な村に辿り着いたとき、金色の髪の美しい女性に声をかけられ、レイノルドは耳を疑った。彼女は窮地に陥った乙女で、ドラゴンを倒してほしい、と告げたのだ。そんな話はあるはずもない。だが騎士として放ってはおけず……。
 ■デボラ・シモンズの代名詞ともいえる〈ディ・バラ家の物語〉がついに帰ってきました! 主役を務めるのは、兄弟中、最も苦しい人生を歩んできた六男レイノルド。珠玉の感動作をお届けします。

抄録

 いつまでもこんなふうに暮らしていけたらいいのに。そうできないのはわかっている。鎖ができあがり、罠を仕掛けて、たとえ何も捕まえられなくても、肉やほかの食料がなければ冬を越すことはできない。食料を買ってもあまり意味はない。ひとつの村は自給自足でやっていかなくてはならないし、すぐに彼の金は底をつく。
 たぶんサビーナをキャンピオンに連れていくべきだろう。あそこならここの人々全員が安全に暮らしていける。だが、そのあとわたしはどうするんだ? またキャンピオンを出ていくのか? それともそばにいて、誰かが彼女に求婚するのを眺めているのか? 彼女は弟のニコラスよりずっと年上というわけではない。ディ・バラ家の末息子に妻を与えるのがわたしの運命なのか? レイノルドはぞっとした。たとえサビーナが喜んで行くとしても、そんなことができる強さが自分にあるかどうか、わからない。
 サビーナの美しい横顔をちらりと見ると、彼女は大好きな土地をじっと眺めていた。レイノルドは彼女を説得できないのがわかった。それに、彼女はほかの場所で幸せになれるだろうか? 海岸地帯のほかの土地や別の樺の林の話をするときに目を輝かせるだろうか? レイノルドは首を振った。
「そろそろ戻ろう」彼はぶっきらぼうに言った。
「ええ、そうね」サビーナは言ったが、表情が沈んだ。「もうだいぶ長い時間ぶらぶらしているものね。みんな、わたしたちがどこに行ったのかと思うでしょうね! それに、あなたは朝食も食べていないわ」彼女は自分のひとときの幸せを詫びるかのようにしゃべりだした。サビーナがしばし悩みの種を忘れた時間を切りあげるとは、わたしはなんて気がきかないんだ、とレイノルドは思った。
 厩に着いたとき、サビーナは黙りこんでいた。
 戻ろうなどと言いだしたりしなければよかった。がらんとした広間と、辛辣なアーバンと、くだらないことをひっきりなしにしゃべっているウルスラ以外に何が彼らを待っているというのだ? 一瞬、レイノルドは馬に乗ってどこかに行こうと言いかけた。だが、どこに? どこに行こうとこの状況は変わらないし、いくらキャンピオンから遠くに逃れてこようと、自分自身からは逃げられない。
 馬から降りて振り返ると、サビーナが心配そうな目で彼を見ていた。「どうかしたの?」
 レイノルドは首を振った。なんでもない。これがすべてだ。彼を悩ませているものに対する答えがないから、ふたりに共通する問題に戻るしかなかった。
「ドラゴンはどこにいるんだ?」彼はもう一度地平線に目を凝らした。「大きなものがどうやってこんなにうまく身を隠せる? それに、どうしてめったに攻撃してこないんだ?」
 サビーナは首を振った。「ここには食べられるものはもうわずかしか残っていないわ。家畜はいないし、村人はいないし、ドラゴンの目を引くようなものはほとんどいないもの。たぶんドラゴンはほかにもっといい餌場を見つけたんでしょう」
 レイノルドはこれと同じ文句を前に聞いたことがあるので、これを信じる気はなかった。彼はサビーナが鞍から降りるのに手を貸した。無意識に動いたのだが、両手で彼女の腰をつかんだとき、熱いものが体を駆け抜けて、身震いした。彼女にまわした手に力がこもる。サビーナを見ると、美しい顔に驚きの表情が浮かんでいた。
 レイノルドはあわててサビーナから手を離し、背を向けた。そしてペレグリンを連れてきて馬の世話をさせるために歩きだした。今朝のことはすべて忘れようと決めた。馬に乗ったせいで痛む脚をぼんやりとさする。彼に痛みを与えるほかのことは考えないようにした。体は厳しく抑えこんでいるし、心はとっくの昔に死んでいると思っていた。
 耳をつんざくようなうなり声が聞こえたとき、サビーナは二、三歩後ろをついてきていた。レイノルドはとっさにサビーナのほうに動き、彼女に覆いかぶさるようにして地面に伏せた。炎が背中をかすめるかもしれないから、自分の体で彼女を守ろうと、しばらくのあいだそのままでいた。だが、何も感じなかったので、頭を起こして上を見た。
 空は前と同じで青く澄んで、何もいなかった。今回は鳥も見えなかった。それでもサビーナを一刻も早く館の地下室に連れていかなくてはならない。そう話そうと顔を彼女に向けたが、つい彼女の目を食い入るように見つめた。なめらかな肌がすぐそばにあり、薔薇色の唇は驚きに開かれていた。
 サビーナはドラゴンに怯えている様子はまったくなく、起きあがろうともしなかった。ただ彼の目をじっと見つめて、それから視線を彼の口に下げた。レイノルドはもう一度、自分の行動を考えるのをやめ、頭を下げて彼女の唇に唇を重ねた。
 サビーナがびくっとしたので、レイノルドは自分のふるまいに驚いて身を引いた。この数日間でわたしは何も学んでいないのか? だが、彼女を解放する暇もなくサビーナが腕を彼の首にまわして、大胆にも彼にキスを返してきた。レイノルドは夢中になり、興奮に溺れ、全身が熱くなった。彼女は極上のワインのような味がした。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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