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危険な恋の行方

危険な恋の行方


発行: ハーレクイン
レーベル: ハーレクイン・プレゼンツスペシャル
価格:900pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ダイアナ・パーマー(Diana Palmer)
 シリーズロマンスの世界で今もっとも売れている作家の一人。総発行部数は4200万部を超え、ニューヨークタイムズを含む各紙のベストセラーリストにもたびたび登場。かつて新聞記者として締め切りに追われる多忙な毎日を経験したことから、今も精力的に執筆を続けている。ジョージア州在住。大の親日家で、日本の言葉と文化を学んでいる。家族は夫と息子の三人。

解説

 ウィニーは警察で捜査に当たるキルレイブンに思いを寄せていたが、出席したパーティで図らずも彼を激怒させてしまう。7年前に起きた忌まわしい出来事の記憶に触れてしまったのだ。キルレイブンの凄惨な過去を知ったウィニーは同情にかられ、ふとしたはずみで彼とキスを交わすや、ますます恋心をつのらせた。もう誰も愛さないと心に決めているキルレイブンが、彼女の一途な思いを捜査に利用しようとしているとは知りもせずに。

抄録

「お気の毒に」ウィニーは声をつまらせて言った。
 ようやくキルレイブンはマグカップを手に取って、テーブルに置いた。そして、少し落ち着きを取り戻した様子でふたたび椅子にまたがった。「犯人を突きとめることはできなかった」彼はぶっきらぼうに言った。「父は怒り狂った。きみと同じように、勘が働くんだ。あのときもガソリンを入れに行った。翌朝まで待てたのに、すぐに行くべきだと思ったそうだ。後悔していた。家に残っていれば、ふたりを助けられたかもしれないと」
「あるいは、やはり命を落としていたかもしれないわ」ウィニーは率直に言った。
 キルレイブンは意表をつかれたようだった。「ああ、僕もそう考えた。だが、父は罪悪感にさいなまれた。それ以来、浴びるように酒を飲むようになった。そして心臓発作で死んだ。医者にはアルコールが一因だと言われたが、きっと悲嘆に暮れて命を縮めたんだろう。父はメリーを愛していたから」彼は話すのをやめて、コーヒーを口に含んだ。熱さが舌に突き刺さる。だが、むしろ好都合だった。いままで、この話を他人にしたことはなかった。一度も。
 やわらかなこげ茶色の視線が、キルレイブンの顔を這う。
「あなたは、その事件が川で見つかった遺体と関連しているかもしれないと考えている」ウィニーはゆっくりと言った。
 彼は黒い眉をつりあげた。「そんなことは、ひとことも言っていない」
「でも、そう考えているんでしょう」
 彼の広い胸が上下する。「ああ。男は紙切れを握りしめていた。しばらく時間がかかったが、アリス・ジョーンズのいる科学捜査研究所が解読した。僕の携帯電話の番号だった。男はここに向かう途中だったんだ。娘の死について、何か知っていたんだろう。まちがいない」
 娘の死。“妻と娘”とは言わなかった。どうしてかしら。ウィニーは不思議に思った。
 彼の大きな手が湯気の立つ白いマグカップを包みこんだ。その目は虚ろだった――まるで退役軍人のように。彼らは“とりつかれたような目つき”と表現する。暴力を目撃し、それに加わった人間の表情だった。けっして心の平和を取り戻すことはできない。
「どんな娘さんだったの?」ウィニーはやさしく尋ねた。
 キルレイブンは目を瞬いた。予想外の質問だったようだ。彼はかすかに笑みを浮かべた。「ジョンと、いや、父と同じだ」笑いながら答える。「腰まで届く真っ黒な髪に、真っ黒に澄んだ目。生まれつき賢くて、やさしい子だった。ちっとも人見知りをしなくて……」彼は口ごもると、マグカップを見おろして、喉をふさぐ大きな塊を溶かすべく無理やり口もとに運んだ。笑いながら、“パパ大好き! 忘れないでね”と言って両手を差し出してきたメリー。その笑顔が、悪夢のような血まみれで息絶えた姿にかき消されて……。
「ちくしょう」キルレイブンは怒鳴って、頭を垂れた。
 ウィニーは男性とはいつも距離を置いていた。引っこみ思案で、自分から近づくことはなかった。それでも立ちあがると、彼を抱き寄せて、頭を包みこんだ。「正直な感情を恥じることはないわ」彼の髪に向かってささやく。「苦しんでいることを認めるよりも、苦しんでいないふりをするほうがずっとたちが悪いわ」
 大柄な体に震えが走った。ウィニーは彼が自分を押しやって離れるのだと思った。なぐさめを拒むのだと。キルレイブンはそういう男だ。熱意と気概と度胸に満ちた、頑強な男。だが、彼は逆らわなかった。少なくとも、しばらくは。一瞬、なぐさめを求める気持ちに屈して、彼女の腰に腕を回して抱きしめた。彼にとって、こんなことははじめてだった。かつて、カミーが同じように手を差し伸べたときでさえ、彼女を押しのけたのだ。
 ウィニーはふさふさしたやわらかい黒髪に頬を寄せ、ただ彼を抱いたまま立っていた。だが、ふいにキルレイブンは身を引くと、立ちあがって背を向けた。
「コーヒーのお代わりは?」耳ざわりな声で尋ねる。
 ウィニーは笑顔を作った。「ええ、いただくわ」テーブルにカップを取りに戻りつつ、彼が一瞬失った自制心を取り戻す時間を与える。「すっかり冷めてしまったわ」
「嘘だ」そばに来た彼女からカップを受け取って、キルレイブンはつぶやいた。「口をつけただけで火傷をする」
 ウィニーは彼を見あげてにこりとした。「断るのも悪いでしょう?」
「それで嘘をついたのか」キルレイブンはカップをカウンターに置くと、彼女を力いっぱい抱き寄せた。「なんてやさしいんだ、きみは」言葉をしぼり出すと同時に、ふいに口を近づけた。
 とつぜんのキスに、ウィニーは驚いた。そんなそぶりはまったく見せなかったのに。瞬間的に燃えあがった炎は、あまりに激しく、気づいたときには唇をひらいて、温かくやわらかな口に彼を迎え入れていた。ウィニーは情熱に身を焦がすような女性ではなかった。むしろ、こんなときには気持ちが冷めた。いままでデートをした男性は、傲慢な態度や強引さが好きになれなかった。ところがキルレイブンは、まるで別人のように情熱に突き動かされていた。キスを楽しみ、それを隠そうともしない。みずからのたくましい体にウィニーを抱き寄せ、彼女が力を抜いて素直にしなだれかかると、キルレイブンは笑みを浮かべた。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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