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オリンポスの咎人 番外編 女神の烙印

オリンポスの咎人 番外編 女神の烙印


発行: ハーレクイン
レーベル: ハーレクイン・デジタル シリーズ: オリンポスの咎人女神の烙印
価格:300pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★☆☆☆1
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解説

 ★人気絶頂、〈オリンポスの咎人〉番外編! 敵同士の看守と囚人は憎み合うほどに愛を募らせる。★
 かつて女神ニケが牢獄の看守だったとき、囚人アトラスは彼女に恋し、甘い言葉をささやいた。無垢なニケはアトラスに夢中になり彼の脱獄を企てるが、あと一歩で成功するというとき、彼がほかの看守も誘惑していたことに気づく。ニケは愚かな自分を呪い、アトラスの胸に彼女の名を刻みつけて屈辱を味わわせた。傷ついた心をひた隠して。そんなある日牢獄の壁が崩れ、二人の立場は逆転する。今、看守となったアトラスはニケを押さえつけ、復讐の喜びを味わおうとしていた。A、T、L、A、S――ニケは背中に1文字ずつ所有の刻印を彫られて……。

抄録

 そんな仕打ちをされる理由があるかというと、あるかもしれない。かつてアトラスはこのすさんだ場所、神々の牢獄であるタルタロスの虜囚だった。倒され、閉じこめられ、忘れ去られた彼はちり以下の存在だった。外に出たい気持ちは強く、出るためならなんでもするつもりだった。そこで彼は牢番だったニケを誘惑し、その恋心を利用したのだ。
 今でこそ否定するが、ニケは彼に本気になった。その証拠に、死をもって罰せられる罪だと知りながら彼の脱獄を計画した。彼のためならそんな罰も覚悟のうえだった。しかし、念じただけで別の場所に行ける瞬間移動の力を取りもどさせるためにアトラスの首輪をはずそうとしたとき、ニケは彼がほかの牢番を何人も誘惑していたことを知ってしまった。
 四人のほうが有利になるのだからあえて一人に絞ることもない。そうアトラスは思ったのだ。
 アトラスは、ギリシャの女神がタイタン族の虜囚との関係を表沙汰にしたがるはずがないと踏んでいた。女たちは沈黙を守るとたかをくくっていた。
 だが女の嫉妬心を甘くみたのがまちがいだった。女どもめ。
 ニケは利用されていたこと、彼が本気ではなかったことを知った。そしてアトラスを牢獄に戻して存在しないふりをするのか、痛めつけるのかと思いきや、ニケは彼の体を押さえつけ、永遠に消せない焼き印を刻みつけたのだ。
 アトラスは長いあいだ報復のときを夢見てきた。たった一人、暗闇だけを友にしてこの地獄のような牢獄で過ごした数世紀、報復の欲望だけが頭を正気に保ってくれるように思えた。
 だからこそ、彼の喜びを想像してほしい。牢獄の壁が崩れだし、牢番がちりぢりになったとき。首輪がはずれたとき。時間はかかったが、アトラスとその仲間はついに自由の身になった。彼らは容赦なくギリシャ神に襲いかかった。
 ものの数日でアトラスたちは勝った。
 負けたギリシャの神々は、かつてタイタン族を閉じこめたまさにその場所に閉じこめられている。アトラスは牢獄の監視役を申し出て、ありがたいことに責任者となった。とうとう報復の日が来たのだ。ニケは永遠に彼の印を背負うことになる。
「生きているだけでありがたく思え」アトラスはニケに言った。
「このろくでなし」
 アトラスはゆっくりと毒々しい笑みを浮かべた。「そのろくでなしに惚れたのは誰だ?」
 ニケはいっそう激しくもがいた。アトラスの部下に押さえつけられていても、その体は汗びっしょりで息づかいは荒々しい。「許さない! 生きたまま皮をはいでやる。灰にしてやる!」
「うつぶせにしろ」ニケのののしり声にかぶせるようにアトラスは命じた。情けは無用だ。ニケが疲れるまで待っているつもりはない。「ひとつ言っておくぞ、ニケ。じっとしてるのが身のためだ。おれの名前がくっきり刻みこまれるまでやめないからな」
 怒りと不満の金切り声をあげると、ニケはようやくおとなしくなった。彼の言葉が本気なのを知っているのだ。アトラスは常に本気だった。脅しなど時間の無駄だ。あるのは約束だけだ。
「絶対に許さないわ」ニケがかすれ声で言った。
 ニケからはもっとひどい言葉を投げつけられたこともある。「いい子だ」アトラスは前に進み出てニケの服を背中から引き裂いた。日に焼けたなめらかな肌にはしみひとつない。かつて彼はこの背中を撫でた。キスし、舌で愛撫した。ニケはほかのどんな女よりも彼を満足させた。なぜなら彼女の目には崇拝に近いあこがれと希望と畏敬の念があったからだ。アトラスは……謙虚な気持ちになった。ここでニケに触れられるのは幸運なことだ。だが、もう一度彼女をベッドに連れこみたいという願望に流され、欲望のいいなりになって刻印も押さずにニケを逃がす気はない。
 必ずやり遂げる。
「いいか?」アトラスはそうきいた。
「わたしはこんなことはしなかったわ」ニケがうなるように言った。「背中には刻印していない」
「そのかわいい胸に刻みこんだほうがいいのか?」
 それを聞いてニケは口をつぐんだ。
 それでいい。アトラスは彼女の胸を傷つけたくなかった。あの乳房はまさに芸術品、この世で最もすばらしい創造物だ。「礼はいらない」手のひらを差し出すと、誰かがその上に必要な道具をたたきつけるようにのせた。
「少なくとも、長すぎる生涯のあいだ、おれの名を毎日見なくてもすむんだ」アトラスのほうは毎日見ないわけにはいかない。「だがおまえ以外の誰もがそれを見るだろう」そして知るのだ、誰がついに彼女を征服したかを。
「わたしが選ぶ恋人全員がそれを見るわけね」
 アトラスの顎がぴくりと動いた。「それ以上何も言うな。時間だ」
「やめてちょうだい」ふいにニケが叫んだ。
「お願いだからやめて」顔を上げた彼女の茶色の目には涙が浮かんでいた。
 ニケは美人ではない。かわいいともいえない。鼻はすこし長いし、頬はすこしとがっている。広すぎる肩にかかる長さの茶色の髪は取りたててどうということもない。目をみはるような曲線もない。そう、ニケの体は戦士の体だ。だが常にアトラスを惹きつけずにおかない何かがニケにはあった。
「お願いよ、アトラス」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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