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キスの誘惑 復讐のメッセージ II

キスの誘惑 復讐のメッセージ II


発行: ハーレクイン
レーベル: ハーレクイン・イマージュ シリーズ: 復讐のメッセージ
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャロン・ケンドリック(Sharon Kendrick)
 ウエストロンドン生まれ。写真家、看護師、オーストラリアの砂漠での救急車の運転手、改装した二階建てバスで料理をしながらのヨーロッパ巡りなど、多くの職業を経験する。それでも、作家がこれまでで最高の職業だと語る。医師の夫をモデルにすることもある小説のヒーロー作りの合間に、料理や読書、観劇、アメリカのウエストコースト・ミュージック、娘や息子との会話を楽しんでいる。

解説

 ファッション界から一人のトップモデルが忽然と姿を消した。その名はトリス・アレグザンダー。彼女は人知れず子供を産んでいた。マスコミから逃れ、高級住宅地セント・フィアカーズ・ヒルの隠れ家で。子供の父親はハリウッドの人気脚本家、コーマック・ケイシーだ。二人はパリで出会ってたちまち恋に落ち、帰国後、同棲生活を始めた。だが、女性にもてる彼に、トリスは嫉妬にさいなまれる日々を送る。やがて別れが訪れ……。だから妊娠がわかったとき、黙っていることが復讐になると思ったのだ――彼から父親の喜びを奪うことが。でも、子供ももう五カ月。この子から父親を奪っていいものかどうか。トリスは思いきってコーマックに真実を打ち明けることにした。案の定、子供の存在を告げた彼女にコーマックは怒りを爆発させた。「僕から子供を奪う権利が君にあるのか? 子供に会わせるんだ!」彼は傷ついている。復讐は成功したのだ。でも、このむなしさは何?
 ◆ドラマティックなストーリー展開で話題のシャロン・ケンドリック。『復讐のメッセージ』はロンドン郊外の高級住宅地に住む男女の愛と憎しみを華麗なタッチで描いた連作です。◆

抄録

 コーマックはすぐには答えなかった。その指をゆっくりとトリスの首に当て、そのまま下へすべらせていく。肌に戦慄が走った。「白鳥のような首だな。白くてすんなりした曲線。まるでサラブレッドのようだ」コーマックはトリスの肌に妖しく触れた。「そうだ、サラブレッドだよ、君は、トリス」
 久しぶりの感触に、トリスは震えた。昔のすばらしい、だが長いこと消し去りたいと思っていた記憶がよみがえる。
 まるで初めて愛し合ったときのようだ。
 あのときトリスは、コーマックが初めての男性だと、はにかみながら告白した。彼がうれしそうな顔をしたのを見て、信じられないほどの興奮を感じた。けれど、心の奥では、雑誌に書いてあるような痛みを感じるのではないかと心配していたのだ。
 しかし実際は、コーマックが情熱的ながらとてもやさしく、ゆっくりと事を運んだので、トリスが感じたのは完全な満足感だけだった。そのあと、彼の胸に顔をうずめて涙を流した。コーマックは彼女の赤褐色の髪をやさしく撫でながら、驚くほど静かにしていた。
 それから、コーマックにマリブの家の鍵をもらったときのことが思い出された。そのときのうれしいような悲しいようなコーマックの表情に、トリスは笑いころげた。彼もつられて笑いだした。これで自由を失うことになると嘆いていたんだ、と言いながら。一緒に笑い合う二人にとって、この世界にはなんの問題もないように思えた。

 トリスはコーマックに首筋を撫でられているうちに、この窮屈な部屋に閉じこめられているような気分になった。刻一刻と時間がたつにつれ、決心がぐらついてくる。
「おいで」コーマックはやさしく言って、トリスを自分の方に向かせた。「さあ、おいで、トリス、スイートハート」
 トリスはコーマックを見つめた。息がつまって苦しい。
 今まで、いろいろな服装のコーマックを見てきた。シナリオの執筆に全力投球しているときは、ジーンズなどのカジュアルな服。トリスをランチに連れていくときは、チノパンツにやわらかいローン地のシャツ。出席しないわけにはいかない授賞式には、気が進まないながらもタキシード。それなのに、今ほど彼がすてきで魅力的に見えたことはなかった。
 乱れた黒髪と危険な香りのする黒い革が作りあげた魅力的な外見のせいだけではない。きっと、サイモンが成長したら、父親に生き写しになるだろうという思いが心のどこかにあるせいだ。
 さあ、だから彼に告げるのよ。早く! そのために今日彼をここに呼んだのだから。
 トリスはコーマックのブルーの瞳を見つめ、その輝きに気づいてぎょっとした。
「そんなに怖がらないで。僕にキスしてほしいと思うのは悪いことじゃない……」
「そんなこと……」トリスは口を開いたが遅かった。コーマックがいきなり彼女を抱き寄せた。こんな彼は初めてだ。コーマックは、愛し合うときはいつでもペースを完全にコントロールしていた。喜びをできるだけ先に引き延ばすのが、彼にとって最大の満足なのだ。でもこのキスは違う。これほど貪欲なコーマックは初めてだった。
 コーマックは唇を強く押しつけ、トリスをぎゅっと抱き締めた。彼の鼓動がトリスの胸に伝わる。大きく速い鼓動は、コーマックの人生を象徴しているかのようだ。トリスは自分が激しく震えているのに気づいた。
 コーマックは顔を上げ、眉をひそめた。「どうして震えているんだい、トリス?」声に少し動揺が表れている。
「わかってるわ。ばかよね?」トリスはコーマックの肩に頭をあずけた。こうしていると、二人の間の問題など、初めからなかったように思える。でも、いったんサイモンの話をすれば、もうこんなふうにはできなくなるだろう。
「どうして? どうして震えているの?」コーマックはやさしく尋ねた。
 油断してはだめ。本当のことを話したら、自分の弱さをさらけ出すことになるかもしれない。そうしたら、コーマックは今まで以上に私を傷つけることができる。
「トリス?」コーマックはそっと促した。
「ずいぶん久しぶりだからよ」トリスはしぶしぶ認めると、すばやく目を閉じた。
「いつ以来?」
「だれかさんと親密なひとときを過ごして以来」
「いつのことだ?」コーマックは鋭く尋ねた。
「あの……あの夜よ」私が彼の息子を身ごもった夜。
 長い沈黙があった。ようやくコーマックが口を開いたが、その声は重々しかった。「僕も同じだよ」
 それを聞いてトリスは喜んでいいはずなのに、実際は逆だった。これで、すべきことをするのが、ますますむずかしくなってしまった。
 コーマックはもう一度トリスの唇にキスした。彼の誘惑するような口づけに、トリスはいつしか唇を開いていた。だが、そうしながらも、いつサイモンのことを切り出そうかと考えていた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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