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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

あなたの腕に帰りたい

あなたの腕に帰りたい


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 サラ・オーウィグ(Sara Orwig)
 大学で出会った元空挺部隊員と結婚し、オクラホマに住む。彼女の作品は二十三カ国語で翻訳され、全世界で千六百万部以上の驚異的な売り上げを誇る。USAトゥデイのベストセラーリストに登場しただけでなく、ロマンティックタイムズ誌の各賞を受賞するなど業界からも高い評価を得ている。

解説

 ★いったい彼女は双子の姉なのか、妹なのか? ラファエラなら人妻、でもレイチェルなら……★旧友ルークから、中米で墜落した自家用機の捜索を依頼され、マイカ・ドレイクは早速現地へと赴いた。飛行機にはルークの妹である双子のラファエラとレイチェル、そしてラファエラの幼い娘二人が乗っているはずだ。しかし、事故現場にはパイロットと女性一人の遺体しか見あたらず、子供たちの姿もない。ルークの話では、姉のラファエラは気が強く、派手で浮気性、妹のレイチェルは子供好きで地味な、おとなしいタイプだという。だからこそ、装身具を何も身につけていない遺体を見て、死んだのは妹のほうだと即座に断定したのだ。やがて子供連れの若い女性を捜しあて、彼女の勇気と美しさに、感動と場違いな欲望を覚えたとき、マイカはふと疑問を感じた。この女性は本当に姉のラファエラなのか? その問いに彼女はこう答えた。「わからない。何も思い出せないの」

抄録

 その夜は、村人とともに食事をした。地べたに座り、豚の丸焼きと甘い香りを放つパパイヤを前に、ポハケはラファエラの気を引こうとしていた。ラファエラのほうは失礼にならない程度に冷ややかに、そしてポハケが気分を害するほど冷たくならないように相手をしている。たき火を囲み、マイカはラファエラをはさんでポハケと並んで座っていたが、自分が真ん中に座ればよかったと悔やんでいた。
 食事をしながら、マイカは大きく円形に座っている村人を観察した。家族がほとんどおらず、ふつうの村にしては女性が少ない。そして、ポハケの手下と思われる男が多すぎる。子供たちは女性陣の近くに座り、ソフィーとアンジェリカは新しい友達といっしょに座っていた。子供たちの小さな集団の中には、フェリペとイグナシオもいる。
 ポハケがマイカの注意を引いた。ラファエラに寄りかかるようにして、耳になにかをささやいている。ラファエラがほほえんで首を横に振ったとき、マイカはポハケを彼女から引き離したい衝動に駆られた。
 ラファエラのことが気になって仕方がない。耳のうしろに鮮やかな赤い花を差している。シルクのブラウスがふわりと彼女を包み、体の曲線がはっきりとわかる。手を差し伸べ、三つ編みをほどきたい。つややかな髪が肩に広がるのが目に浮かぶ。ラファエラがポハケの言葉にほほえむのを見ると、マイカはもうこの宴の夜を終わらせてしまいたくなった。
 やっと辞去できる時間になり、新しい友達とすっかりくつろいでいる子供たちを呼び寄せた。
 ラファエラがやさしくハンモックをゆらしてやると、子供たちは体をまるめて、あっと言う間に眠りに落ちた。「寝たわ。私たち――」
 ラファエラが振り返ると、マイカがすぐそばに立っていた。
「私たち、なんだい?」マイカがうながす。
 恥ずかしさに頬を染め、ラファエラは唇を噛んで首を横に振った。「なにを言おうとしたか、忘れちゃったわ。私はどこで眠ればいい?」
「子供たちの隣のハンモックだ」
「眠っても大丈夫かしら?」ソフィーを迂回して、マイカに指定されたハンモックへ向かう。
 マイカは肩をすくめた。「たぶんね。もっと遅くなったら、なぜポハケがこの村に執着しているのか、偵察に行ってくるよ」
「なぜ? そんなこと、私たちに関係ないじゃない。あなたは事業をしているんでしょう」ほんとうは政府か軍の人間なのだろうか。ラファエラはいぶかった。「私たちを助けに来ただけなのに」
「癖なんだ。反テロリズム組織にいたから。諜報機関に友人もいるし、なにかつかめたら、連中も喜ぶだろう。ルイス・ポハケについて知りたいんだ」
「あなたがいなければ、私たち、家に戻れないわ」
「見てくるだけだ。手出しはしない。心配ない。責任を持って君たちを連れて帰るよ」
「ずいぶん自信があるのね」ラファエラはマイカの尊大さにいらいらしながらも、彼の身を案じていた。
 マイカはハンモックの横に座り、手を伸ばせば届きそうな距離からラファエラを見た。彼女はハンモックにあおむけになり、頭のうしろで手を組んでいる。
「ここを離れるとき、ライフルを置いていく。なにかあったら使うんだ」マイカはライフルの向きを変えた。「手を出して。使い方を教えるから」ラファエラが体を起こすと、マイカは彼女の手をとり、隣に座り直した。抱きしめるわけではないが、ライフルを構えるために彼女の体に腕をまわす。二人の頭が並び、マイカは静かに話した。その声は低くおだやかで、ラファエラは男のにおいをかぎ取った。
「これがセレクター・スイッチ――これが安全装置。弾をこめるには、ボルトを動かすんだ」
 ラファエラはぼんやりと彼の言葉を聞いていた。ライフルに集中することができない。考えられるのは、隣にいるマイカのこと、肌に触れる彼の腕の感触、そして力強い肉体がそばにあることだけだった。
 マイカはその場を離れ、彼女と向かい合って座った。「僕のバックパックは準備ができている。逃げるときは、子供たちと、荷物と、ライフルをかかえていくんだ。僕を待つな。僕が君たちを見つける」
「なにかあると思っているのね」ラファエラは必死でマイカの言葉に集中しようとしていた。
「いや。でも、変にうろついているところをルイスに見つかれば、僕が言ったとおりの人間でないことがばれるだろう」
「明日、彼といっしょに行きたくないけれど、それしか交通手段がないのね」
「明日はいっしょには行かない。今夜のうちに村を離れる。でも、まず調べておきたいんだ。休んでおくといい。すばやく逃げ出さなきゃならないから」
 ラファエラはこの未開の国をまた何日も歩くかと思うとがっかりしたが、マイカもポハケに対して不信感を抱いていたことに、ほっとした。
 暗闇の中でそばにいると、マイカは彼女に触れたくてたまらなかった。我慢できずに太い三つ編みを手にとると、指の関節が彼女の喉に軽く触れた。「髪をほどいてあげようか?」
「ええ」ラファエラは答え、マイカは注意深く髪を結んでいるひもを解きはじめた。
 指の上をすべっていくやわらかでつややかな長い髪の感触を味わう。見つめていると、彼女の唇が開き、ひたと見あげてきた。目の表情を読むまでもなく、マイカは二人の間に緊張が高まるのを感じた。体が反応しはじめる。まるで髪をほどいているだけでなく、愛撫しているかのようだ。たかだか髪に触れているだけで、燃えあがるとは。
 ラファエラは首を振り、マイカから離れた。髪が暗い滝のように肩に広がる。「もういいわ」
 マイカはじっとしたまま、ラファエラを見つめていた。状況が違えば、その長い髪に指をからめ、彼女を引き寄せていただろう。キスをし、シルクのブラウスの下に手をもぐりこませたい。
 もっと距離を保たなくてはと思い、マイカはぎごちなく身を離した。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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