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籠の中の貴婦人

籠の中の貴婦人


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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著者プロフィール

 マーガレット・ムーア(Margaret Moore)
 俳優エロール・フリンに憧れ、『スター・トレック』のミスター・スポックに恋をした少女は、やがて謎めいた魅力的な悪漢をヒーローに仕立てたロマンス小説を書くことに夢中になった。カナダのオンタリオ州スカボローに夫と二人の子供、二匹の猫と暮らしている。読書と裁縫が趣味。

解説

 宮廷一の美女と評されるアデレイドは軽薄な男たちに言い寄られる毎日に辟易していた。そんなある日、戦地から帰ってきたばかりらしい精悍な騎士アルマン卿に鉢合わせして目を奪われる。初めて胸のときめきをおぼえながらも、アデレイドは彼に近寄るまいと決意した。暴君の父と奴隷のような母を見て育った彼女は結婚しないと固く誓っているのだ。だがその矢先、二人は王ヘの謀反の企てを偶然耳にしてしまう。声の主を突き止めるには、いったいどうすればいいの? 戸惑うアデレイドに、アルマン卿はふとひらめいたように口づけた。

抄録

 アデレイドは一瞬よろめき、アルマンの両腕に受け止められた。耳にした内容に呆然として動けない。正体はともかく、あの男たちは暗殺を企てている。
 そこではっと気づき、彼女はあわててアルマンから離れ、強引にドアを開けた。そして男たちが去ったと思われるほうへ急いで向かった。声の主を突き止めるつもりだった。
 庭園には誰もいなかった。人の姿はない――今声を聞いた男たちも、王の一行も、ヒルデガードやレディたちも。
 アルマンが追いかけてきて彼女の腕をつかんだ。「いったい、どこへ行く気だ?」
「あれが誰なのか、突き止めないといけないわ」
 彼はいぶかしげに見つめた。「わからなかったのか?」
「そうよ」アデレイドは憤慨してまくしたてた。「すごく小さな声だったし、あなたは驚くかもしれないけれど、わたしは男性とおしゃべりしたことがないんです。このお城の使用人とも、国王にくっついて旅している従者や執務係や聖職者の方ともね。それなのに、あなたのせいで彼らを逃がしてしまったわ」
「捕まえて、どうするつもりだったんだ?」アルマンは穏やかに、しかしきっぱりと言った。「暗殺計画を立てていると告発するのか? どんな証拠がある? 庭で盗み聞きした内緒話が証拠になるのか?」
「だからあなたは逃がしてやったの?」アデレイドは言い返した。「確かに、わたしはジョン王を少しも愛していないわ。でも彼らは王がイングランドを破滅させるのを食い止めている有能なふたりの男性を殺す気なのよ」
「ぼくからジョン王に話そう。きみは聞いたことを忘れろ」
「わたしは子どもじゃありません!」
「王を守ると誓った騎士でもない。これはぼくの義務だ、きみの出る幕ではない」
「わたしは騎士ではないかもしれません」アデレイドは反論した。「でも人を殺して、特にあの立派なふたりを暗殺して王政を倒そうとするなんて許せない」
「だめだ、危険すぎる」アルマンは言い張った。「女性を守り、危ない目にあわせないようにすることもぼくの義務だ。この件にきみを巻きこむわけにはいかない」
「お言葉ですけど」アデレイドはますます怒りといらだちをつのらせて言い返した。「わたしはすでに巻きこまれています。危険とおっしゃるなら、宮廷ではひとたび寝室を出たとたん、常になんらかの危険が待ち受けています。あなたにおわかりかしら、王やほかの男性の欲望を刺激しないよう、しかも露骨に拒むのは槍攻撃に直面するよりも危険だと知ったうえで、好色な彼らのまわりを用心深く歩くのがどれほど難しいか?」
 アルマンが顔をしかめたのを見て、彼女はさらに議論を続ける決心をした。男性は自分たちがいなければ、女性というものは弱くて頼りなくて子どもを産む以外に役に立たないと信じたがっている。アデレイドはそうは思わなかったし、彼に軽くあしらわれたくない。
 しかし、アルマンは反論もせずにうなずいた。「わかった。いっしょに王に伝えよう」
「だめです」アデレイドは言った。別の可能性が頭に浮かんだからだ。「王自身もかかわっているかもしれないわ」
 アルマンは頭がおかしいのかとでもいうような目を向けた。
 それでも彼女はひるまなかった。「王は、たとえ理にかなったことであっても、人に命令されたり忠告されたりするのがきらいなんです。ペンブルック伯爵の忠告に耳を傾けるのは、伯爵が不誠実なことをするぐらいなら死を選ぶ方だと知っているからです。聖職者の中ではカンタベリーのヒューバート大司教を最も尊敬していますが、それはあまり知られていません。もしも伯爵と大司教が死ねば、ジョン王はその忠告に逆らいがたいと感じているふたりから解放される。心情的に、ついに自由になるわけです」
 アルマンは長い髪をかきむしり、険しい顔をした。「ああ、考えられる話だな。おそらくきみの言うとおりだ。もっと詳しい事情をつかむまで、王には知らせないほうがいいだろう。だが、ともかくペンブルック伯爵には警告しておこう。ランドルには聖職者の友人が大勢いる。彼から大司教に連絡してもらえるだろう」
 アデレイドはその計画にも危険を感じた。「ペンブルック伯爵とヒューバート大司教に警告する必要はあるけれど、誰にも怪しまれないよう、わたしたちの聞いたことは秘密にして進めなければ。ランドルはあなたのお友だちで、信頼できる人だとわかっていますが、陰謀を知る者は少なければ少ないほうがいいわ。相手は殺人によって目的を達成しようとする人たちです。計画の邪魔になると思えば、誰でも躊躇なく殺すかもしれません」
 彼女は待った。こういう問題は自分のほうがよく知っているとアルマンが反論すると思ったからだ。
「わかった。大司教にもぼくが直接伝えよう」
 彼に議論する気がないので、アデレイドはほっとして言った。「わたしはここであまり親しくなかった人たちとおしゃべりして、声の主を捜すわ」
 今度も待ったが、アルマンは反対しなかった。「そのあいだにぼくは、今日ラドガーシャルから出ていく者がいないか調べてみよう。そういうことをきける友だちが衛兵の中にいるんだ」
「よかった」アデレイドは喜ぶと同時に、アルマンがすんなり同意してくれることに少々驚いた。「では、それぞれが得た情報をどうやって交換するか、考えないといけませんね」
 ジェーンが小道をこちらへ向かってきた。何か考えこむように、うつむきかげんで足早に歩いている。
 アルマン・ド・ボワバストンが突然アデレイドを引き寄せた。
 そして、キスした。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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