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侯爵のひたむきな愛

侯爵のひたむきな愛


発行: ハーレクイン
レーベル: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル シリーズ: 歌姫に薔薇の花を
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ダイアン・ガストン(Diane Gaston)
 軍人の三女として生まれ、子供時代、日本に住んだ経験を持つ。新しい土地でなじめず寂しい思いをしたとき、読書に心慰められたという。大学では語学に加え心理学も学び、卒業後はメンタルヘルス・セラピストとしてキャリアを積む。一男一女に恵まれたのち、子供のころ大好きだったロマンス小説の作家をめざし、見事ゴールデン・ハート賞を受賞し華々しくデビュー。『嵐が丘』よりも『ジェーン・エア』のようなハッピーエンドの物語が好き。リージェンシー時代の英国を題材にした作品を得意とする。ベネチアが世界一ロマンチックな場所だと語る。特技は歌をうたうこと、ダンス、ピアノ。ワシントン州在住。

解説

 目を覚ましたマリーナは見知らぬ家のベッドに横たわっていた。下着は身につけておらず、隣には裸のタナートン侯爵が眠っている。驚いて悲鳴をあげかけたとき、マリーナはすべてを思い出した。昨夜、嵐で船が難破し、侯爵と一緒に海に投げ出されたのだ。彼は見ず知らずのマリーナを命がけで助け、介抱してくれた……。タナートン侯爵は覚えていないようだが、マリーナは彼と一度だけ踊ったことがあり、以来ひそかに憧れていた。その彼の見せるやさしさに胸を熱くさせながらも、ある事情から姿を隠さなければならないマリーナが去ろうとすると、侯爵は決然と言った。わたしがあなたの力になります、と。

 ■『歌姫に薔薇の花を』で活躍した稀代の放蕩者タナートン侯爵が登場。彼が見つけた運命の女性は謎に満ち、恋は一筋縄ではいきません。侯爵のひたむきな愛は彼女の心に届くのでしょうか?

抄録

 マリーナはタナーの生活について何も考えなかったことが恥ずかしくて、顔を赤らめた。彼女の記憶の中のタナーは未婚でかっこよくてのんきな侯爵だ。「ごめんなさい。あなたが結婚しているのかも知りませんでした。もし……」
「結婚はしていない」タナーは脇腹に手を当てて答えた。「わたしの帰りが遅くなっても、それほど困る人間はいません。わたしがすることはすべてうまく管理されていて、何かをきかれることもない」
 タナーは寂しそうな顔をした。マリーナは舞い上がった。
 彼は結婚していない。
 それからは会話も弾まず、食事はぎごちない雰囲気の中で進んだ。ミセス・グウィンがまたノックした。タナーが立ち上がった。
「お皿を下げに来ました。その前に、まずこれをどうぞ」彼女は折りたたんだ白い服をタナーに手渡した。「寝巻きです」
「ありがとう」マリーナはミセス・グウィンのやさしさに驚きながら、皿を盆に片づけた。
「これはありがたい、ミセス・グウィン」タナーは白い寝巻きをベッドの上に置いた。「これを買わせてくれないか?」
 ミセス・グウィンは手を振った。「災難に遭われた方からお金などいただけません」
「ぜひ買わせてほしい」
 ミセス・グウィンは母親のようにタナーの頬を軽く叩いた。「それじゃ、明日になってから決めましょう、ミスター・リア。ほかに欲しいものは?」
「わたしはとくにない」タナーはマリーナのほうを向いた。
 彼女は首を横に振ってミセス・グウィンに盆を渡し、ミセス・グウィンのためにドアを開けてやろうとドアに近づいた。
 だが、敷居をまたぐ前に、足を止めた。「待って。あの、主人のシャツを洗濯してもらえるかしら。清潔なシャツを着たがっているの」
 ミセス・グウィンの顔がぱっと明るくなった。「任せてください。ちゃんと洗濯して火の前に干しておきますから」彼女はまたタナーに近づいた。「こちらにください」
 タナーはシャツを脱ぎ、ミセス・グウィンの腕にシャツをかけた。「ありがとう」
 彼女はほほえむと、足早に部屋を出ていった。
 タナーはマリーナのほうを向いた。「よく気がつきましたね」
 タナーの肌がランプの明かりに照らされている。その体は湯浴みをしていたときと同じくらい美しかった。彫像のようで、触れてみたくなる。とくに盛り上がった筋肉に。
「あなたはわたしのためにお風呂を頼んでくれたから、おあいこです。それに、あなたはわたしの命を救ってくれた」
「その点でもあいこだ。ほら、あなたはミスター・デイヴィーズの息子の頭を殴った」
 彼はミセス・グウィンが持ってきた寝巻きを着た。
「ベッドに入る前に、あなたを厠に連れていこう」
 ベッドに入る前。マリーナはそのときのことを考えると、胸が高鳴った。
 厠がある宿の裏に出たときには暗くなっていた。タナーが一緒にいてくれてよかった。暗闇に危険が潜んでいるようでマリーナは恐ろしかった。
 部屋に戻ると、タナーが言った。「わたしの分の毛布と枕をください。わたしは床で寝ます」
「だめよ」マリーナは断った。わたしを救ってくれた男性を床に寝かせるわけにはいかない。「肋骨が痛いのでしょう? ベッドに寝てください」
 タナーはマリーナの腕を取り、自分のほうを向かせた。「あなたを床に寝かせたくない」
 マリーナは胸をどきどきさせながらタナーを見つめた。「それじゃ、一緒にベッドに寝ましょう」
 タナーに見つめられて、マリーナの胸は高鳴った。だが、彼は何も言わない。
 とんでもない間違いをしたかもしれない。彼がキスしかかったことの意味を、わたしは誤解したようだ。一緒にベッドに寝ようと誘われれば、彼は喜んでわたしと愛し合いたいそぶりを見せる、と思ったのに。こんなふうに静まりかえるのではなくて。
 マリーナはかつて夫のコーランドから拒絶されたときと同じような気持ちになった。夫はベッドに誘ったわたしを淫らな女だと罵った。妻からベッドに誘うのは不自然なのだ。あのときわたしはそう思ったが、夫が愛人からベッドに誘われると喜ぶことを、あとから知った。
 わたしは男性にとって魅力がないのだわ。エリザの子どもたちの家庭教師をしているあいだ、知る機会がなかったけれど。
「こ、言葉が足りなかったわ。つまり、ベッドが大きいので、ふたりでも寝られると言っただけで、それ以上の意味はありません」
 タナーがそっぽを向いたので、マリーナは自分の言ったことが彼にどんな影響を与えたのかわからなかった。
 彼がようやくこちらを向いた。「ベッドに一緒に寝るだけなのですか?」
 マリーナはうなずいた。
「それじゃ、あなたが服を脱ぐあいだ、うしろを向いています」タナーは衣装箱のほうを向いた。
 マリーナはコルセットの紐に手こずったが、できるだけ急いで服を脱ぎ、寝巻きを頭からかぶって、脱いだ服がしわにならないように椅子にかけた。
 そして、ベッドの上掛けの下にもぐり込んでから言った。「いいわ」
 タナーはブーツを脱ぎ、ナイトシャツの上にはおっていた上着を脱いだ。マリーナは薄目を開けて観察した。タナーはズボンを脱いだが、肝心な部分はナイトシャツに隠れて見えなかった。
 彼はベッドに上がって隣に横たわると、マリーナに背を向けた。マリーナは、今朝目覚めたときのように素肌を密着させて抱き合えたらよかったのにと思った。こんな状況では一睡もできないだろうという予想に反して、彼の寝息が聞こえると、マリーナも眠りに落ちた。
 その夜は夢を見た。しばらく見ていなかったのに、恐怖と危険を経験したせいか、あの夜のことがあざやかによみがえってきた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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