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和書>小説・ノンフィクションハーレクインウエディング・ロマンス・ベリーベスト

運命の招待状

運命の招待状


発行: ハーレクイン
シリーズ: ウエディング・ロマンス・ベリーベスト
価格:400pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ペニー・ジョーダン(Penny Jordan)
 1946年にイギリスのランカシャーに生まれ、10代で引っ越したチェシャーに生涯暮らした。学校を卒業して銀行に勤めていた頃に夫からタイプライターを贈られ、執筆をスタート。以前から大ファンだったハーレクインに原稿を送ったところ、1作目にして編集者の目に留まり、デビューが決まったという天性の作家だった。2011年12月、がんのため65歳の若さで生涯を閉じる。晩年は病にあっても果敢に執筆を続け、同年10月に書き上げた『純愛の城』が遺作となった。

解説

 インフルエンザにかかって寝込んでいたベルは、ドアを開けて元夫を目にしたとたん、気を失った。大手投資顧問会社で働いていた彼女は、当時大学院生だったルークとたちまち恋に落ち、若くして結婚した。収入の差も社会的な地位の違いも愛の前では関係ないと信じて……。傷つけ合って離婚してから7年がたつ。どうして彼は今頃現れたの?

抄録

 ルークが自分も間違っていたかもしれないと認めたのは初めてだった。ベルは自分が間違っていたのはわかっていた。いろいろな面で誤った道を突き進み、ルークの男としてのプライドに対して無神経だったと自覚していた。
 しかし、こう感じたのは初めてだった――ルークも後悔していたのかもしれない、自分のしたことやそのやり方や……応じ方に、疑問を感じていたのかもしれない、と。
 もしあのときそれに気づいていたら……今のように向き合って座り、話し合っていたら……。
 だが、ルークはもう座ってはいなかった。立ちあがって――ベルを残して――立ち去ろうとしていた。“哀れみ深い隣人”の務めは終わったのだ。
 ベルは、扉に向かって歩いていくルークを見つめた。
「ありがとう。あの……あの、スープを」扉を開けるルークにぶっきらぼうに言うと、ベルは顔をそむけて目を閉じた。彼が――ふたたび――自分の人生から立ち去っていくのをとても見てはいられなかった。
 それから数秒たっても扉がぱたんと閉まる音がしないので、ベルは目を開けた。そして、ルークがベッドのすぐそばにいるのを見て、さらに目を見開いた。彼がこんなに私の近くにいる。
「君は僕に感謝する必要なんてないんだ、ベル。ぜったいに。僕がなにをしたとしても」ルークは言い、さっきしなかったことをした。頭を下げて、ベルにキスをしたのだ。
 それは一瞬の、性的な意味はかけらもない、好意を示すだけの軽いキスだった。そのつもりだった、とあとになって、ルークはベルに言った。だが、どういうわけか二人の唇も、口も、感覚もそうは受けとめなかったらしく、ベルの唇に触れたルークの冷たい唇は、熱く、深く、長いキスを始め、ぴったり重なり合った二人の唇はさらに熱烈に求め合った。
「こんなことをしてはいけないんだ。君は病気なんだから」ルークはうめいたが、なおもベルを腕に抱き、自分の胸にしっかりと引き寄せたので、ベルには彼の激しい鼓動が感じられた。ルークは両手でベルの顔をはさんで、その目の奥をじっとのぞきこんだ。
 ルークは唇でそっとやさしくベルの唇に触れた。ベルは、どこか遠くから聞こえる、甲高く、押しつけがましく、不愉快な音を聞いていた。電話が鳴っているのだ。ベルはしぶしぶキスをやめた。
「キャロル姉さんからよ」電話のディスプレーに姉の電話番号が表示されているのを見て、ベルはルークに言った。
 受話器を耳にあてると、姉が勢いこんで言うのが聞こえた。「ベル、ひどいことになってしまったの。アリス大伯母様が……」
 ベルは、ルークが扉に向かって歩きだすのを見ていた。ここにいて、と叫びたかった。行かないで……私を置いていかないで。しかし、彼女は大人の女性であり、大人の女性はそんな愚かな衝動やばかげた感情に押し流されはしない。
 受話器をてのひらでおおって、ベルは声をかけた。「お見送りもできなくて申し訳ないわ……」
「ベル? ベル? だれかいるの?」キャロルが好奇心をむきだしにして尋ねているのが聞こえる。
「単なる……予期せぬ訪問者よ」ルークがそっとうしろ手に扉を閉めるのを見ながら、ベルはできるだけ平静を装って言った。
 いずれにしても、ほんとうのことだった。
 とにかく、キャロルは早く説明したくてうずうずしているらしく、早口で続けた。「あなたにどう伝えるべきか見当もつかないんだけれど、アリス大伯母様があなたへの結婚式の招待状をルークのところに送ってしまったんですって。ベル! ベル、聞いているの?」
「聞いているわ」ベルは答えた。
 十分後、姉からの電話を切ったベルは、自分をきびしくいましめた。姉から電話がかかってこなければ、なにが起こっていただろうかとか、ルークがキスを続けていたら、どうなっていただろうとか、私がどっと押し寄せてきた感情に身をまかせていたら、どうだっただろうとか、あれこれ考えたり想像をめぐらせたりしても、なんの意味もない、と。
 ルークの唇にそっと唇をなぞられていると、結婚していたころの数々の喧嘩のことも、結婚生活の断末魔とも言うべき最後の喧嘩で、たがいにぶつけ合ったとげとげしい言葉も、簡単に忘れることができ、楽々と、ほんとうに楽々と、かつて分かち合った愛を思い出すことができた。
 ‘かつて’分かち合った?
 ベルは身を震わせながら目を閉じた。こんな気持ちになって、いろいろ思い出したり……後悔したり……願ったりするのは、インフルエンザで体が弱っているからよ。でも、たった今、ルークにキスをされたときに私が感じたのは、現在の私という女性の、現在の彼という男性に対する反応だ、とベルは痛いほど率直に認めていた。私は今のルークという男性を求め、彼がそばにいることや彼との触れ合いに、年齢を重ねた女性として、以前より成熟した一人の女性として、反応したんだわ。
 そんな危険な思いにいつまでもひたっていたくなくて、ベルは枕の形を整え、自分に言い聞かせた。早く眠って、病気を治さなければ。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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