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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

あなたがまぶしくて

あなたがまぶしくて


発行: ハーレクイン
レーベル: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ダイアナ・ハミルトン(Diana Hamilton)
 イギリスの作家。ロマンチストで、一目で恋に落ち結ばれた夫との間に三人の子供をもうけた。就寝前の子供たちにベッドで読み聞かせるために物語を書きはじめる。ロマンス小説家としてのデビューは1987年、その後数多くの名作を世に送る。2009年5月、ファンや作家仲間に惜しまれつつ亡くなった。

解説

 ■結婚式を取り仕切るのがわたしの仕事。花婿に恋することは許されない。
 ■ウエディング・コンサルタントのアリスは、若手法廷弁護士として活躍するギデオン・ライマーから、自宅でとり行う結婚式と披露パーティの手配を依頼された。彼女は打ち合わせのためにギデオンの壮大な屋敷を訪れたが、庭師や家政婦たちが若く美しい女性だということに、まず驚かされた。こんな美女たちに囲まれて暮らしているからには、ギデオンの妻になる女性もきっとすごい美人に違いない。ところが会ってみると、婚約者は平凡な顔立ちの娘で、しかも結婚に乗り気でない様子が気になった。何か悩みがありそうね。彼ほどすてきな男性はいないのに、なぜ? そう気づいて、アリスは愕然とした。わたしは婚約者のいる男性に心を奪われてしまっている!

抄録

 わたしは愚かにも思春期の少女のように彼にのぼせあがってしまったけれど、ここにいつまでもいるわけではないし、屋敷を離れ、彼の姿を目にしなくなれば、すぐに熱は冷めるはず。
 夕食にはジャネットも同席するだろうから、食事のあと打ち合わせができる。招待客リストを完成すれば、すぐにここを立ち去れる。
 テラスのテーブルはビュッフェ式にしつらえてあった。雉の冷製、グリーンサラダ、ズッキーニのオムレツ、赤ワインで煮こんだ桃、さまざまな種類のチーズの盛り合わせ、銀製のアイスバケットに入ったワイン。一個師団をまかなえるほどの料理の量だった。そして、食べている者は誰もいなかった。
 なんとなく場違いな感じがして、アリスは落ち着かなかった。しかも、庭から石段をのぼってくるギデオンの姿を見たとたん、体に熱い電流が走った。
 めまいを覚え、心臓が激しく高鳴って息が詰まりそうだった。砂色の細身のズボンに黒い絹のシャツを着た彼の姿はすばらしく魅力的だ。
 汗のにじんだてのひらをアリスはそっとドレスにこすりつけた。百万キロのかなたに行ってしまいたかった。単に外見に惹かれているだけだから、うまく対処できると思っていたのに……。
 経営学を学んでいた十八歳のころ、アリスは男子学生からデートを申しこまれ、有頂天になったことがあった。なにしろ、美しい姉たちの陰に隠れた存在のアリスは、誰からも関心を持たれたことがなかったのだ。男子学生の甘い言葉に酔いしれ、アリスは恋に落ちたと思いこんだ。そして当然のなりゆきでベッドをともにし、それがなんの感動ももたらさないことを知った。お互い、相手への関心は急速にうせていった。あれ以来、男性の外見に惑わされるような愚かなまねは二度としなくなった。
 今日までは。
 アリスは背筋を伸ばした。口のなかがからからになろうと、心臓がどきどきしようと、いっさい無視しなければ。彼が石段をのぼりきり、頭をちょっとかしげてほほ笑みかけてくるまでは、うまくいくはずだった。
「おなかがすいたかい、アリス?」
「ええ」かすれた声しか出なかった。彼を軽蔑するために列挙した理由はことごとく頭から消え去った。アリスは飢えていた。だが、食べ物にではなかった。
 ギデオンの笑みがもたらす魔力がアリスを骨抜きにした。彼に触れたかった。彼を抱きしめ、セクシーな唇にキスしたかった。たくましい腕に抱かれ、体を密着させ、唇で肌を愛撫されたら、どんな感じだろう? そしてこの身を預けたら……。
「そうか。さあ、好きなものをどんどん食べて。ぼくはワインをあけるから」
 ありがたいことに、彼はわたしの様子がおかしいことに気づいていないようだ。突きあげてくる熱い思いが表に出ないよう、アリスは奥歯をぎゅっと噛みしめた。
 震える脚で彼についてテーブルに行くと、オムレツとグリーンサラダを少し皿にとり、椅子に腰を下ろして、なんとか軽い口調を装った。「ほかの人たちは?」
 ジャネットが来てくれれば、少しは緊張がほぐれるだろう。ギデオンは気づいていないようだが、緊張の糸は切れる寸前まで張りつめている。
「みんな、ぼくたちを見捨てたようだ」テーブルのまわりを移動しながらギデオンは皿に料理を盛っていく。西日が斜めにテラスにさしこみ、彼の日焼けした腕と端整な横顔を黄金色に染めている。
 ギデオンが隣の椅子に腰を下ろすと、その存在が痛いほどに感じられ、アリスはあわてて視線をそらした。
「グエンは持病の偏頭痛で寝こんでいるようだ。内装業者との打ち合わせをうまく仕切れなかったからだろう。ジャネットは、長いこと会っていなかった学生時代の友人から突然電話があって、なんでも中部地方に行く途中ここを通るので、久しぶりに会って話がしたいと言ってきたそうだ。隣村にある〈ジョージ&ドラゴン〉というパブで会っているらしい。きみに謝っておいてくれって頼まれたよ。打ち合わせは明日の朝、必ずするからって」ギデオンは、例のちょっとけだるそうな笑みを浮かべた。「とにかく今夜はもうなんの収穫も期待できそうもないから、仕事のことは忘れたほうがいい」
 打ち合わせがさらに延期されたことでいらだっていると彼は思っているようだが、アリスは別のことを考えていた。もしわたしがギデオンと婚約しているジャネットの立場なら――彼の結婚の動機がなんであれ――一日中、あちこち出歩いたりできるわけがないし、結婚式の準備に無関心でいられるはずもない。ギデオンのそばをかたときも離れないし、目の届かないところに彼を行かせるなんて、絶対にしないだろう。
 アリスは彼に気づかれないよう椅子の端へと腰をずらし、皿にとった料理を口に運んだ。だが喉が詰まって、うまくのみこめなかった。食べるのはあきらめてフォークを置くと、今度は沈黙が耐えられなくなった。「トッシーとドナは?」
 せめて庭師と家政婦がこの場にいてくれたら、彼と二人きりでいる重圧感から逃れられるのに。二人が現れるのをアリスは心のなかで祈ったが、願いは無惨にも打ち砕かれた。
「あの二人は、ぼくたちとは夕食を一緒にしないんだ。昼食はみんなで食べることもしょっちゅうあるけど、夜は二人の自由時間で、それぞれ好きなように過ごしている」ギデオンは椅子の背に寄りかかった。「それはそうと……今日一日でぼくはきみに自分のことをいろいろ話したような気がするな」
 長い指でワイングラスをもてあそびながら、彼はアリスを真正面から見つめてきた。その美しい青い瞳には、信頼と親しみを覚えずにはいられない優しさがこもっている。
「今度はきみの番だ。自分のことを話してくれてもいいんじゃないかな?」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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