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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ヒストリカル

聖骨箱の秘密

聖骨箱の秘密


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジュリエット・ランドン(Juliet Landon)
 イギリス北部の古代の面影を残す村に、引退した科学者の夫とともに住む。美術や歴史に対する興味が旺盛で、豊かな想像力が生きると思い、ヒストリカルの小説を書き始めた。作品を執筆するために調べ物をするのはとても楽しいと語り、特に中世初期がお気に入りの時代だという。刺繍について豊富な知識と技術を身につけ、その腕前はプロとして講師を務めるほど。

解説

 ■このまま独房に入るのはいやだろう? だったら、ぼくと結婚するんだ。
 ■オリアンは十八歳にして、叔父から金細工の店を任されていた。ところが今、まさに方ふさがりの状況だった。貴重品を入れた聖骨箱から宝石や金貨が消え、帳簿の数字が書き換えられている。それを従兄のレオが、オリアンの仕業だと高に訴えはじめたのだ。かわいがってくれた叔父は、ならず者に襲われて亡くなり、彼女をかばう者は誰もいない。いや、一人だけ救いの手を差し伸べてくた――ヨーク近隣の領主サー・ユーアン・フィッツハーディングが、オリアンを妻にする代わりに、レオを黙らせると約束したのだから。けれども、これが果たし救いと言えるのだろうか? 彼はオリアンの唇を奪い、唖然とする彼女にこう言い放った。「両親が望んでいる孫を産んでくれれば、きみの愛など必要ない」
 ■ひたむきで若々しいヒロインに惹かれたヒーローの、強引でちょっと変わった求愛のかたちとは……?

抄録

 「そうか、とても高潔な考え方だな。フィッツハーディング家の人間との結婚が、殉教と同じうつろな鐘の音を響かせるとは思いもよらなかった。でも、もし地獄で身の潔白を証明できると思うなら、やってみたらいい。父上は喜ばないだろうがね」
 「そして、弟たちもということね。あなたは弟たちを家に送り返すつもり?」
 「そんなことはしない。彼らは有望だ。でも肩身の狭い思いをしながら暮らすことになるだろうね。彼らの出世の助けにもならないだろう」サー・ユーアンがさらにふたりのあいだの距離を縮めたので、オリアンは逃げるためには彼を押しのけなければならなくなった。彼はオリアンの膝の両脇のクッションに両手を置き、顔を近づけた。「よく考えてみることだ。ぼくとの結婚は、地獄に堕ちるより、きっと得になるはずだ」
 「あなたがそう思っているだけよ」
 サー・ユーアンの唇に浮かんだ微笑はすぐに消え、ふたたび口元は引き結ばれた。「明日、返事をもらおう」
 「その必要はないわ。今、返事をするから。わたしは繁殖用の雌豚ではないのよ。だから、あなたが思っているような条件を満たせるかわからない。たとえ満たせたとしても、子供を作ってもいいという雌豚はほかにいくらでもいるわ」
 「はん!」その声と微笑みを肌に感じ、オリアンはさらに後ろに下がろうとした。がっしりした両肩を手で押しのけたが、彼はびくともしなかった。オリアンの頭が窓の下枠に触れたとき、サー・ユーアンがクッションに膝をついて片腕で彼女を抱き寄せ、両手を容赦なく背中へねじ上げた。彼の肩に引き寄せられた格好で押さえつけられて、オリアンは身動きできず、呆然となった。「いや、きみはぼくと結婚する。きみはぼくと戦いたい誘惑に抗えないからね。きみはことあるごとにぼくを妨害したいと思っているんだ。だが、独房に入れられては、それもできないだろう? だからぼくと結婚するんだ」
 オリアンにはわかっていた。これから彼の唇を味わうことになるのだ。唇はもう少しで触れそうなほどそばにあり、彼が言葉を発するとふたりの息が混じり合った。オリアンは息を吸って胸をそらしたが、逃げ場はなかった。悲鳴をあげる前に唇をふさがれ、彼女はその衝撃で息を止めた。ところが、彼が離そうとしないのがわかり、少しずつ息を吐きだした。
 意志の力を総動員して、反応したり、気を緩めたりしないよう必死に自分を戒めた。けれども、これはレオの友人たちから受けた暴行とは似ても似つかなかった。いや、似ていないどころか、官能的でとても巧みなうえに、いつまでオリアンがじっとしていられるか故意に試されているようなキスだった。
 オリアンの胸に切迫した弱々しい悲鳴を感じ取ったユーアンは、ようやく彼女を解放した。彼の望んでいた全面降伏ではなかったが、彼女はついに好敵手と出会い、好むと好まざるとにかかわらず、負けたことを認めたのだ。ユーアンは慎重に後ろへ下がり、彼女の体を起こした。
 オリアンは怒りで息もつけない状態だった。「あなたは……このあいだやってきた……ごろつきと変わらないわ……あなたが何を企んでいるのか……ちっともわからない」彼女は窓台の下のベンチからぱっと立ち上がった。「そして、あなたはわたしに慕わせるようにする。そうじゃない?」
 「いや、お嬢さん、それは違う」ユーアンは両手を腰にあてて、おもしろそうに彼女を見た。「両親が望んでいる孫を産んでくれれば、きみが愛情を示してくれなくても、ぼくは生きていける。きみに子だくさんの素質があるかどうか確かめたんだよ」彼はいたずらっぽく微笑んだ。
 オリアンの中で、激しい怒りと、腸が煮えくり返るほどの憤りが、やかんの蒸気のように噴きだした。どうにも気持ちを抑えきれなくなり、オリアンは小さなテーブルの上にあった美しい装飾が施された短剣を衝動的につかみ、鞘から抜き取った。サー・ユーアンから目をそらさずに、短剣を逆さに持ちかえた。慣れた手つきで刃を持ち、柄を彼のほうに向ける。
 「それを置くんだ」ユーアンは子供をあやすようにたしなめた。「怪我をするぞ」
 青ざめた顔で、オリアンは体をひねり、壁の羽目板に向かって短剣を投げた。もっと正確に言えば、窓との境目にある、歯をむきだしにした彫刻の頭像に狙いを定めた。投げたときも、スカートの裾は揺らぎもせず、あまりの速さに、ユーアンが顔を上げたときにはすでに目標に突き刺さっていた。木製の頭部の眉間に深く刺さった短剣は、羽根ペンのように小刻みに揺れていた。
 オリアンの目には、怒りと喜びの入りまじった表情が浮かんでいた。
 サー・ユーアンの目には、賞賛といくらかの衝撃が表れていた。彼は壁まで歩いていき、短剣を抜き取り、戸口に向かいながらそれを鞘におさめた。そして最後に振り返って彼女を見た。視線をオリアンの頭のてっぺんから爪先まで下ろしてから、また顔に戻した。「ぜひとも、きみに息子を産んでもらいたい。それがぼくにとって最悪の行為になったとしても」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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