マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・スペシャル・エディション

二百パーセント愛してる

二百パーセント愛してる


発行: ハーレクイン
レーベル: シルエット・スペシャル・エディション
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
購入する


著者プロフィール

 ジェニファー・グリーン(Jennifer Greene)
 1980年にデビューし、70作におよぶ作品を刊行しているベストセラー作家。RITA賞をはじめ、ロマンティック・タイムズ誌のベストシリーズ賞、最大功績賞など、数多くの賞を受けている。夫とともにミシガン湖近くに住む。

解説

 ■会社を解雇された、傷心のアビー。彼女を救う白馬の騎士は……。
 ■アビーは住み慣れた都会を離れ、タホ湖へと車を走らせていた。人生を立て直し、もっとのんびりした生活を送るために。広告会社の管理職だったアビーは、一週間前、突然解雇された。引退する経営最高責任者の後任になれると信じて疑わず、同僚の男性たちの誰よりもよく働いて、手腕を発揮してきたのに。落伍者。その言葉が胸に響き、今までのすべてが否定された気分だった。タホ湖まであと二十分というとき、突然車がパンクした。真夜中、しかも吹雪では、通る車もない。アビーは途方に暮れた。そこへ、ようやく車が一台通りかかった。運転していたのは、ガーソン・キャメロン。地元でスキーロッジを経営する、有能なビジネスマンだった。アビーには、彼が窮地を救ってくれる白馬の騎士のように思えた。だが、傷心を抱える彼女は、女性としても自信を失っていて、今は恋など心に入り込む余地は残されていなかった。

抄録

 ガーソンの手が近づいてくるのを、アビーは見た。彼女の胸のなかで警鐘が鳴り響く。彼がキスしようとしているのは明らかだ。三十四歳にもなれば、そして厳しいビジネスの世界で生きぬいてきたとあれば、誘惑をうまくかわす方法くらいはわかっている。危険な状況に直面してあわてふためくような女ではない。  ほんの少し前にガーソンはジャケットの袖に腕を通していたのだから、帰るつもりだったのだ。それなのに一瞬の衝動に心を迷わされてしまったらしい。アビーには身をかわして逃げようと思えば、そうするだけの時間は十分にあった。事実、彼女は逃げだすつもりだった。  だが、ガーソンのからだがあまりに近くにあったので、アビーは突然、自分が隅に追いつめられたような気がした。革のジャケットのにおいと、たくましい男の香りが、彼女から動く力を奪った。  アビーは彼の大きな手がうなじにそえられ、自分の顔が彼の顔のほうへ向けられるのを感じた。彼のブルーの目に真剣な色が浮かぶのを見た。なめらかな薄い唇が、彼女の唇めざして近づいてくるのがわかった。窓からさしこむ日ざしが、彼の頬と顎の線をくっきりと際だたせ、乱れた黒髪を輝かせている。  アビーは唇をあけて、微笑もうとした。冗談を言って、ガーソンがキスをする前に、このばかげた状況を回避するつもりだった。  だがそのとき、彼の唇が触れた。春のそよ風よりもやさしく、そっと。それはチョコレートチップクッキーの味がした。と同時に、なにかそれよりはるかに深い、心をそそる甘い味がした。アビーの心臓は突然、か弱い蝶の羽のように震え始めた。  ガーソンの唇は、最初は軽くもてあそぶように彼女の唇を滑り、それからゆっくりと味わうようにとまった。キス以外に重要なことはなにひとつないかのように、彼は心を集中させている。その姿はまるで、たとえ今この瞬間に雪崩が襲ってこようとも知ったことではないと言っているかのようだ。  キッチンはいまだに惨憺たる状態だ。ここは春の草原ではないし、心地よいそよ風も吹いてはいない。アビーもすでに若くはなく、初めてのキスの素晴らしさを味わっている‘うぶ’な少女ではない。そしてキスは……大人同士のキスは、いつだって単純ではないのだ。  それなのに、このキスは単純に思われる。簡単な気がする。ただ両腕を彼の首に回してしがみついてさえいればいい。彼のにおいを胸いっぱいに吸いこんで、ただ楽しんでいればいいのだ。  ガーソンが唇を離した。だがそれは、ささやくために離しただけだった。彼はアビーの目を見つめ、親指で彼女の顎と頬を撫でると、再び唇を重ねてきた。ガーソンの唇は月の光よりも柔らかく、そして、激しく孤独な愛の歌のリズムのように脈打っている。  アビーのからだがかっと熱くなった。彼にキスされると、目もくらむ高みに舞いあがったような気分になる。まるで空高く舞う凧のような……。なんて奇妙なのかしら。彼にキスを返して、この魔法と狂気がどこからやってくるのかを知らなくては。これまで問題から尻ごみしたことはないんだもの。たとえ今みたいに恐れを感じていたって、尻ごみしたりはしないわ。  そこでアビーはキスを返した。だが、魔法と狂気はいっそう激しくなっただけだった。ガーソンは舌を彼女の舌に絡ませ、両手で彼女の肩から背中を愛撫する。アビーの爪先立っている足が痛んだ。唇は熱く濡れて、もやは自分の唇のような気がしない。ガーソンのキスが、彼女の唇を永遠に変えてしまったようだ。  彼が頭をあげたとき、アビーは奇妙にもめまいと混乱を覚えた。シャンパンなどめったに飲んだことのない彼女が、たて続けに何杯もシャンパンをあおったような気分だった。 「アビー?」ガーソンがささやく。その目は微笑んでいた。 「なあに?」 「さっきからずっとオーブンのブザーが鳴りっぱなしだよ」彼はアビーの乱れた髪をすきながら言った。甲高いブザーの音など、知ったことではないとでもいうように。  最後のクッキーを出しにオーブンのところへ行かなければならないというのは、ガーソンの腕から逃れるためのかっこうの口実になった。とりだしたクッキーは、明らかに焼けすぎだった。 「アビー、ぼくは本当にもう行かなくてはならないんだ。もっとも、仕事をしに行くんじゃないよ。そんな気にはとてもなれない。二時間ほど雪のなかで熱を冷まそうと思う」  アビーが鋭い視線を彼に投げた。 「ぼくらは……その、また会って話せるかな?」ガーソンはきいた。 「いいえ」  そのぶっきらぼうな返事を聞いて、彼の目に新たな火花が散った。「そうか。ぼくも悪いと感じられれば謝ってもいいんだがね。だけど、きみと一緒にクッキーをつくるのはすごく楽しかったし、さっきのキスはこの十年間で最高のキスだった」ガーソンは顎をさすった。「いや、もっとだ。実際、今もあのキスのせいで苦しんでるよ。もしもう一度──」
 *この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。