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夏の雨にぬれても

夏の雨にぬれても


発行: ハーレクイン
レーベル: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ダイアナ・ハミルトン(Diana Hamilton)
 イギリスの作家。ロマンチストで、一目で恋に落ち結ばれた夫との間に三人の子供をもうけた。就寝前の子供たちにベッドで読み聞かせるために物語を書きはじめる。ロマンス小説家としてのデビューは1987年、その後数多くの名作を世に送る。2009年5月、ファンや作家仲間に惜しまれつつ亡くなった。

解説

 ■妹を誘拐して残酷に捨てた憎い男。姉はその男への復讐を思い立った。
 ■保母派遣会社を共同経営するキャロライン・ファーはフィン・ヘリアーが娘のために保母の派遣を依頼してきたと知ってとっさにある計画を思いついた――フィンへの復讐を。フィンは二年前、キャロラインの妹を誘惑したあげく、残酷に捨てて自殺未遂に追い込んだ憎い男だ。会社の経営にのみたずさわり、保母の資格も知識もなかったが、キャロラインは共同経営者を強引に説き伏せて保母になりすまし、フィンのもとへ面接を受けに行った。保母として彼の身近にいる間に、ふさわしい復讐の方法を考える。そして、実行する――本当にそんなことができるのかしら? 彼女は不安になった。復讐の神が味方についてくれるのを祈るしかない。

抄録

 部屋から足を踏み出したとたんに、フィンの顔にはあの人なつっこい笑顔が戻っていたのだ。険悪なムードはなくなっていた。 「準備はいいかい?」フィンは急に震えだしたカーロの体を、ゆっくりと眺めまわした。シルバーグレーの瞳は半ば閉じ、濃いまつげが表情を隠している。ついにカーロの視線をとらえたフィンの瞳の中には、明らかに彼女の嫌っている光があった。「さっき大騒ぎしたからって……あんな格好をしていたからって、そんなにかしこまる必要はないのに」  フィンは“あんな格好”という言葉を強調して言った。まるでカーロの格好の詳細まで覚えていて、今思い出して楽しんでいるようだ。覆われているところよりむき出しになっているところのほうが多いTシャツ姿で床を這いまわっていたのだ。  フィンは私をくびにするつもりはないらしい。つまり、私の理論が正しかったことになる。居心地のいい静かなコテージでフィンと二人だけで数日を過ごすなんて、ライオンのねぐらに足を踏み入れるようなものだわ!   たぶん、今すぐ決着をつけたほうがいいかもしれない。言いたいことをフィンに告げ、彼の犯した罪を認識させるのだ。祖母の家で庭師として仕事をしているデイビッド・パーカーが、もし若くて元気でなかったら、もし偶然にその場に居合わせなかったら、傷心のケイティはファー家の敷地内にある暗い池の中に自らの体を沈めるのに成功していたということを、フィンに理解させるのだ。  そうしたらフィンのもとを去り、本当の生活に戻ろう。もう二度とこの女たらしとはかかわりを持つこともないし、彼に対する怒りを、やっと発散させることができる。  たぶん、それが一番いい方法だろう。でも、もし私に勇気があれば、別の方法がある。カーロの頭にひらめいたのは途方もない考えだった。にもかかわらず、カーロは答えていた。「ええ、いつでも出かけられます」 「どうも子供部屋は少し狭そうだな」フィンがすまなそうに言った。「友達のベンとジョアンナには四歳と九カ月の二人の男の子がいるんで、ベビーベッドとシングルベッドしか置いてないんだ。もし狭苦しく感じるようだったら、君たちが主寝室を使えばいい」フィンはソフィーを抱き上げて腰にのせるようにして抱きかかえ、カーロを見つめた。  キャロライン・ファーはたいした女性だ。さっきまで陥っていた窮地から脱し、保母として頑張ろうとしている。妹のケイティと違って、彼女には根性がある。  彼女たちの祖母の八十歳の誕生日パーティーで初めて会ったとき、ケイティはほこりまみれの観葉植物の間に咲いた、みずみずしい春の花のように見えた。そして祖母のエリナが近くにいるときは、彼女ができるだけ目立たないようにしていることが、すぐに見てとれた。  エリナは強烈な性格の持ち主で、自分に立ち向かってくる者しか認めようとしない。フィンは若いケイティを気の毒に思った。そして同情しているうちに、おかしな状況に巻き込まれていたのだ。  カーロにはそんな厄介なところがない。彼女はケイティとはまったく違うタイプの女性だ。まとわりついたりしない……。 「このお部屋で結構です」カーロは半円形の出窓にかけられたコットンの花柄のカーテンを眺めた。私はここでいったい何をしようとしているの?   何をしようとしていたかはっきり思い出し、全身から血の気が引いた。ゲームを進めるために必要な用意ができているかどうか、あわてて頭の中で考える。 「それでいいなら、この部屋を使ってくれ。でも、君の気が変わったら、いつでも部屋を交換するよ。僕がソフィーを庭で遊ばせている間に、ベッドを用意しておいてくれないか? 君の準備が終わったら村まで食料の買い出しに出かけよう」戸口でフィンが振り返った。「それから、その囚人みたいな服は着替えてほしいね」カーロの緊張をほぐそうと、フィンはにっこり笑った。  今朝早く、ソフィーと大騒ぎをしているところを怒ってから、カーロはいつになくおとなしくしている。突然カーロを抱き起こし、キスしたい衝動に駆られたのを隠すために怒ってしまったのだ。  もちろん、カーロはそれを知らない。とにかく今は彼女をリラックスさせ、安心させて、なぜ保母になりすましているかをきき出さなくては。  カーロは自立心の強い女性だ。彼女の祖母の言葉が半分でも本当なら、彼女は知的で好奇心が旺盛で、とても誠実な女性ということになる。信頼を得られない限り、何も打ち明けてもらえないだろう。  なんとしても彼女の信頼を得なければならない。  一人になったカーロはベッドの端にどさりと腰を下ろし、自己嫌悪に苦しんでいた。生まれてこのかた、カーロは一度決心したら、目的を達成するまで必死で頑張ってきた。しかし、今回ばかりはためらっている。弱気になるなんて、私らしくない。計画どおりにフィンの痛いところを突いたあとで自分の正体を明かし、なぜいやな思いをしてまで彼のそばにいたのか、ケイティがどんな思いをしたのかを教えてやればいいと、頭の中でささやく声がする。
 *この続きは製品版でお楽しみください。

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