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彼女のすてきな変身 最高のあなた

彼女のすてきな変身 最高のあなた


発行: ハーレクイン
レーベル: ハーレクイン・ディザイア シリーズ: 最高のあなた
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 モーリーン・チャイルド(Maureen Child)
 旅行をこよなく愛する彼女は、機会さえあれば夫と連れだって研究旅行に出かける。ハッピーエンドが大好きで、今でもこの職業を世界最高と自負している。現在は夫と子ども二人、それに誇大妄想気味のゴールデン・リトリーバーとともに南カリフォルニアに暮らす。ウォールデンブックスのベストセラーリストに登場歴を持つ。

解説

 ■成功した仕事、美しい容貌――あと変身計画に必要なのは、愛する男性だけ!
 ■高校時代、爐阿梱瓩猫爐気┐覆き瓩噺世錣譴討い織肇譽ぅ掘次H狃は十年ぶりの同窓会を前にして、ある計画を立てていた。私は今や成功したビジネスウーマンだ。外見も、あのころよりは多少はまともになっている。それにさらに磨きをかけ、故郷のみんなをあっと言わせるのだ。オレゴン州の実家までは、現在彼女と同じ南カリフォルニアに住む、リック・ベネットが車で連れていってくれることになっている。昔から憧れの人だったリック。彼は高校時代、トレイシーの姉の恋人だった。今回も姉の頼みで渋々トレイシーを同乗させることになったのだ。彼にとっては今でも私は、ちびでさえないトレイシーなのだろう。だが、私はもう昔の私ではない。リックにも故郷のみんなにもそれを思い知らせてあげるわ!
 ■セクシーで軽快なストーリーが人気を呼んでいるモーリーン・チャイルド。本作はそんな彼女の代表作『最高のあなた』シリーズのスピンオフにあたります。海兵隊で鍛えぬかれたリックが、美しく成長したトレイシーの魅力にどこまで抵抗できるのか……ご期待ください。

抄録

 リックが部屋に入ってきて、トレイシーは後ろに下がった。そのとき初めて彼がトレーを持っていることに気づいた。おいしそうなにおいを吸い込むと、自分がどんなに空腹だったかを思い知り、トレイシーは驚いた。
 「続き部屋を取ったんだ」リックはそう言いながら窓辺のテーブルに行った。壁に取り付けられたランプをつけ、そばに来た彼女を見る。「ずいぶん気分が悪そうだったから……」
 リックは言葉を切り、黙り込んだが、トレイシーには彼の言いたいことがわかった。夜間に具合が悪くなった場合に備えて続き部屋を取ってくれたのだ。
 優しい配慮。なんてすてきなんだろう。だが、彼の顔つきからして、どうやら照れくさいらしい。トレイシーはじんわりとうれしさを感じた。父親以外の男性に気にかけてもらい、面倒を見てもらうのは生まれて初めてだ。こんな小さな優しさがこれほどまでに深く心にしみるのには、実際驚きだった。
 「チキンスープを持ってきたんだ」
 「いいにおいだわ」彼女はまたにおいを吸い込み、感傷的な気持ちが高まるのを抑えた。
 「何か食べたほうがいいと思ってね。ジンジャーエールもあるよ。気分が悪いときにはいいんじゃないかな。少なくとも、うちの母親はそう言っていた」
 私の母もそう言っていた。だから、ジンジャーエールを飲むといまだにインフルエンザを連想してしまう。だが、彼にそう言うわけにはいかない。
 トレイシーは目の前のぼんやりした大きな人影をまっすぐに見た。「ありがとう、リック」
 「なんでもないことさ」リックは椅子に座り、トレイシーが向かいに座るのを待って言った。「それより、さっきはきつくあたってすまなかった」
 「いいのよ」彼女は肩をすくめた。スプーンを持ち、飲み物の中から氷をすくい上げ、スープに落とす。
 「いや、よくない。きみがどんな理由であの計画を立てたかなんて、僕には関係ないことなのに……」リックは言葉を切り、彼女がさらにスープに氷を落とすのを見つめた。「何をしているんだい?」
 「少し冷ましているの」
 「ああ」一呼吸置いて、彼はまた話しはじめた。「とにかく、きみが戦闘機のパイロットが好きだと言うのなら、僕もそれでいいよ」
 「好きだとは言ってないわ。戦闘機のパイロットなら、同窓会に出席する女性たちがすごいと思うだろうと言ったの」トレイシーはスープをすすり、胃の調子を見てから、もう一口飲んだ。そして、目を細めて彼を見た。「でも、その点は少し譲歩するわ。普通の海兵隊員でどうかしら?」
 彼はにやりとした。「賛成だね」
 「やった」
 トレイシーは飲み物に手を伸ばし、グラスをひっくり返しそうになった。リックはすばらしい反射神経でそれを食い止めた。
 「どうしてコンタクトレンズをしないんだい?」
 「寝てたもの」
 「じゃあ、眼鏡はどこだい?」
 「バッグの中よ」
 「持ってこようか?」
 「いいえ。ありがとう」眼鏡をかけた自分がどんなふうに見えるかはわかっている。
 「どうして? 食べているものを見たくない?」
 「ほとんど見えないけど、自分の口の場所くらいわかるわ」
 リックはふうっとため息をもらした。頭を振っているのだろう、とトレイシーは思った。だが、確信はなかった。ぼんやりと動くものを見るのは、動かないものを見るより大変だ。
 彼女はスープを食べ終えると、椅子にもたれた。やっといつもの自分に戻った気がした。
 「気分はよくなった?」
 「すごく。生きてるって感じ」
 「そう聞いてうれしいよ」
 沈黙が流れた。トレイシーはリックの顔が見えないことをありがたく思った。彼はどう思って私を見ているのだろう? メグの妹? ほとんど目の見えない乗り物に弱いうすのろ? やり手のビジネスウーマン? ぐずなやつ?
 魅力的な女性?
 そう思うと、全身が熱くなった。急に、体中の神経がざわめきはじめ、冷たい夜気も体内のほてりを冷ませそうにない。
 「トレイシー?」リックの声を聞くと、トレイシーは背筋に震えが走った。
 「何?」彼女は、リックが情熱をたたえた緑の瞳をきらめかせて見つめているところを想像した。彼女は唇を開いた。喉がしめつけられる気がした。
 長い間があった。
 「なんでもない」リックは席を立った。
 椅子の脚がすりきれたラグをこする音が、この特別な幻想の終わりを告げる合図になった。
 トレイシーは目を凝らし、ゆっくりと自分の部屋に続くドアに向かうリックの動きを見つめた。鼓動は速まり、心臓が胸を突き破って、彼の背中に飛んでいくのではと思うほどだった。
 「おやすみ」彼はドアのところで立ち止まった。「必要なときは──呼んでくれ。そこにいるから」
 彼はドアを閉めた。
 必要なときは、って?
 トレイシーは椅子の背にもたれた。もし今すぐ呼んだら、彼はなんと言うだろう。もし、私が彼に求めていることをはっきり口にしたらどうするだろう。抱いて、キスして、愛してほしい、と。
 「ああ、なんてこと」彼女はささやき、身を乗り出してテーブルに両肘をついた。グラスが倒れ、冷たいジンジャーエールが膝にこぼれる。これはお告げだ。運命の女神も冷静になれと言っているのだ。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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