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御曹子の恋

御曹子の恋


発行: ハーレクイン
レーベル: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キム・ローレンス(Kim Lawrence)
 イギリスの作家。ウェールズ北西部のアングルジー島の農場に住む。毎日三キロほどのジョギングでリフレッシュし、執筆のインスピレーションを得ている。夫と元気な男の子が二人。それに、いつのまにか居ついたさまざまな動物たちもいる。もともと小説を読むのは好きだが、今では書くことに熱中している。ハッピー・エンディングが大好きだという。

解説

 ■この恋は悲しい道をたどるしかないのか。あまりにも、身分の違うふたりでは。
 ■イブとドリューの出会いのシチュエーションは最悪だった。そのときイブは彼の甥ダニエルを誘惑している最中だったからだ。おかげでドリューは彼女をセクシーな魔女と思いこんだ。とんでもない誤解だ。イブは弟思いの地道な庭師。誘惑劇も、ダニエルの親友である弟の筋書きによる、ダニエルをいじめから救うためのお芝居だった。だがイブに幻想を抱いたドリューは、彼女を強引に求めてきた。軽い情事の対象にすぎないとわかっているのに、彼に触れられると全身がとけそうになる。たとえ一度きりでもいい、ドリューと愛を交わしたい。見返りさえ望まなければ、苦しむことはないはず……。

抄録

 ルーズフィットのイタリア製の背広にオープンネックのウールのシャツという粋な格好のドリューを見ると、改めて、シャーロットとは似あいの美男子だと思う。ひとりずつでも目立つ美男美女が並んだら、誰もがうらやむだろう。
 「びっくりして、つい口走ってしまったのよ」
 「それは驚かせて悪かった」皮肉な言いかただった。
 「ふだんはそんなに冷たい人間じゃないんだけど」
 「僕に対しては例外というわけか。ありがたいね」
 「私は人の不幸を喜ぶような人間じゃありません」
 「そう?」からかいの言葉にイブがむっとして首を振るのを見て、ドリューは笑った。「イブ・ゴードン、君は変わっているよ。普通の人は捨てられた花婿と聞くだけで、うれしくてわくわくする」
 「自分を哀れんでうれしがる人もいるわ」イブははっと顔をしかめ、本心から後悔するような表情になった。「撤回するわ。ごめんなさい。誰だってそんな目にあったら、落ちこむわ。きっともう立ち直ったと思うけど」慰めるようにつけ加える。「でなかったら今日来ないでしょう?」それ以上ひどいことを言うまいとして、どうでもいいことばかりしゃべっている。
 「男には絶対立ち直れない出来事もあると僕が言ったら、もっと自己嫌悪に陥る?」ドリューの気持ちを傷つけてしまったのをなんとかしようとするあまり、ますます混乱した状況にはまっていくイブをおもしろそうに見つめながら、彼は言った。
 イブは、ドラマチックな身ぶりで心臓の位置に片手を置いているドリューをけげんな顔で見た。居直って空威張りしているの? 本心を隠すためにわざとふざけた態度をとっているのかしら。傷ついているようには見えないけど、わからない。テオだって傷ついている様子は表に出さないわ。イブは白い息を吐いて、失言を埋めあわせる努力をするのはもうよそうと決意した。
 「立ち直れないほど傷ついているとしたら、彼女が離婚するって聞いて、さぞうれしいでしょうね」
 ドリューの瞳からからかいの色が消えた。「ロッティが?」濃い眉が一文字に寄せられる。
 ロッティ……シャーロットのことね。彼は当然知っていると思っていたので、イブは驚いた。
 「知らなかったの?」
 「僕はただランチに招かれて来ただけだ。それより、なぜ君がそんなことまで知っている?」
 「ご本人から聞いたのではなく、ミセス・アトキンソンから……」
 「ということは、ロッティが帰ってきているということか?」動揺を隠してはいるが、ドリューの顔色は変わっていた。
 さっきまでのクールで自信満々のドリューではない。彼のエゴイスティックな風船をぱちんと破裂させてやったことで、気分がよくなってもいいはずだが、イブはなぜか心躍らず、逆に気持ちが沈んだ。
 「彼女は両腕を広げてあなたをお待ちかねよ。断っておきますけど、これも彼女が言ったわけじゃないわ。いまこそキスをして過去を埋めあわせるべきときだという印象を私が受けただけ。覚悟するのね。お膳立てはすっかりできているのよ」
 「くそ」ドリューは悪態をついて豪華なマナーハウスを見やり、次にイブの目をのぞきこんだ。「君のでっちあげじゃないだろうな」
 イブはかっとして首を振る。「なぜ私が……」
 「わかったよ」ドリューはいらだったように、そしてなぜか少し気が抜けた様子でイブの言葉をさえぎった。「少し黙っててくれ。考えているんだから」威圧的に命令すると、怒った顔になったイブを鋼鉄のような目で見すえた。
 イブは皮肉をこめてかかとを打ちあわせて敬礼したが、それでもドリューが無視するので、凍った地面を踏み鳴らし、冷たい指先に息を吹きかけた。氷点下の寒さだというのに、いつまでここで立ち往生させるつもりなの?
 「ねえ、君に頼みたいことがあるんだ」
 「こっちこそ、車をどかしてとさっきから頼んでいるのに」まったく、自分のことしか頭にないのね。
 「叫んだり、悲鳴をあげたりしないでくれ」
 いぶかしげにイブは顔をしかめた。「なぜそんな……」
 「そうだ。それより、黙ったままでいてくれ」
 何がそれよりなのか、考える暇さえないうちに、イブはキスをされていた。悲鳴こそあげなかったが、彼女は最終的にドリューのすねを蹴りあげるのに成功した。
 ドリューが体を離したとき、イブは陸に上げられた魚のように口をぱくぱくさせていた。怒りで青ざめ、黒みがかった瞳に軽蔑をこめてドリューを見たが、やがてその視線を彼の唇に移さずにはいられなかった。
 やっとのことですねを蹴りあげるまでに、イブは彼の唇の官能的な感触を十分に味わっていた。もちろん、決して快い経験ではなかった。ドリューのキスは、犠牲者であるイブを意のままにすることを目的とし計算された、冷たいものだった。イブはその記憶を追い払おうとした。
 「すばらしい」ドリューは言った。「君は最高の友人だ。カーペットの洗濯代のことは考えるよ」
 友達ですって? 友達は唇を重ねてキスをしあったりしないわ。握手するか、抱きあうくらいのものよ。この人を抱きしめたいなんて思いもしないけど。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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