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一度だけの過ち

一度だけの過ち


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ロビン・ドナルド(Robyn Donald)
 ニュージーランド北部の牧場主の家に、一男五女の長女として生まれた。十五歳で師範学校に学び、十九歳で結婚、同時に小学校の教師となる。子育てを終えて一時休んでいた教職に戻り、かたわら執筆を始めた。蘭の花が咲き、キウイやオレンジの実る美しい北部の村に住む。

解説

 マリサはある日、経営する店に現れた男性を見て息が止まった。レイフ! 6年間、かたときも忘れることのなかった男性。大富豪のレイフは、帰国する私を自家用機に同乗させてくれたが、その飛行機が墜落し、二人きりで一夜を過ごした。あのとき、墜落のショックにうなされる彼を抱きしめ、肌を合わせたのがまるで昨日のことのようだ。だが、その後ある事件が起こり、彼の前から消えるしかなくなった……。今はわけあって偽名を名乗るマリサに興味を示したらしく、さかんに食事に誘うレイフに彼女は戸惑いを覚えるばかりだった――ずっと秘密にしてきたことを彼に知られるわけにはいかないから。

抄録

 振り返ったマリサの口調は静かだった。「ここはすばらしいわ。泊めてくれて本当にありがとう。宿泊代の支払いについて話し合わなくちゃね」
 予想外の言葉だった。彼はそっけなく言い返した。「もてなしに対して客に支払ってもらう気はない」
 冷静な緑の瞳を黒いまつげが覆い、彼女の考えは読みとれない。「あなたのお客様はお友達でしょう。もちろん、その人たちは宿泊代を払おうと思わないはずよ。お返しにあなたをもてなせるし。でも、私にはそれができない。レイフ、お情けは必要ないし、受け入れたくもないの」
 「これはもてなしだ。お情けではない。僕が申し出なければ、ジョー・タナーが泊めてくれただろう」
 マリサは身をこわばらせ、真剣な声ではっきりと言った。「キアと私がほかに住むところを見つけられなければ、タナー家でも宿泊代を払ったわ」
 口調から別の住まいをもう当たったらしいことがうかがえた。「運に恵まれなかったのか?」レイフは尋ね、彼女の鋭い視線におもしろみすら感じた。
 「まったく運がないわ。今週、ヨットクラブでセーリング大会があるなんて知らなかったの。それに、来週はこのあたり一帯でカントリーミュージック・フェスティバルがあることも忘れていた。電話をかけた朝食つき民宿もモーテルもホテルも、新年のあとまで予約で埋まっていたわ」
 レイフはそっけなく言った。「じゃあ、ほかの場所を当たるのはやめたまえ。宿泊代がどうこう言うのもやめるんだ。君は気づいていないかもしれないが、二人ぐらい客が増えても僕はお金に困らないよ」顔を上げたマリサに鋭い声でつけ加える。「もちろん、食べすぎる客でなければだが」
 皮肉っぽい笑みがマリサの口元に浮かび、たちまち緑の瞳がおかしそうに輝いた。「私はそんなに食べないわ」まじめくさった顔で言い返す。「でも、キアの食欲には驚くかもしれないわね」
 「あの子は体格がよくなりそうだ」なんともさりげない口調だが、探りを入れられていることが彼女にはわかった。「父親も背が高かったのか?」
 マリサはためらい、緊張の一瞬後、うなずいた。身長は百八十センチを超え、がっちりしていたデイビッド・ブラウンを思い出し、レイフは嫉妬めいた奇妙な感じを覚えた。これまで恋人にバージンであってほしいと思ったことはないが、腹立たしいことに、マリサが誰かと愛し合っていたかと思うと、意外なほど抵抗感があった。
 レイフは経験から、マリサも自分に欲望を感じているとわかっていた。だからこそ彼女は宿泊代を払うなどと言って防壁をめぐらそうとしたのだろう。
 レイフは傷ついた。あまりにも多くの女性の注目を浴びてだめになっている、と妹はよく彼を責めた。たぶん妹の言うとおりだ。もっとも、色目を使う女性の大半は彼の人格よりも財産に惹かれていることを、レイフはごく若いうちに悟ったが。
 マリサがこんな奇妙なゲームをしている理由がわかれば、誘いに応じようとしない態度が目新しく思えたかもしれない。いらだたしさが強まり、彼は胸が締めつけられた。あらゆる事実を手に入れたら、この状況にもっとうまく対処できるだろう。
 メアリとデイビッド・ブラウンとの離婚が成立したのは、彼女がマリポサを離れて二年以上たってからだ。レイフの雇った私立探偵はキアの生年月日も突き止めた。ニュージーランド行きの飛行機に彼女が乗ってからちょうど九カ月後だった。
 マリサはレイフの陰気な表情に気づいていらいらした。「宿泊代について取り決めができなければ、あなたは間違いなくお礼攻めに遭うわよ。とにかく、お祖母様の車を借りるなら、私は謝礼を払わなければならないし」
 「ものを借りる場合に、金の支払いは発生しない」
 マリサは彼をまじまじと見てゆがんだ笑みを浮かべた。「それは言い間違いでしょう」
 「失言だとでも?」レイフは愛想よく質問した。
 マリサはやや落ち着きを失った。頬が赤くなったが、頭を傲然と上げたままだった。「失言でもなんでもかまわないわ。自分にかかった費用を払ってはいけないというところには泊まれない」
 レイフは眉根を寄せたが、広い肩をそっけなくすくめた。「わかった。女性ひとりと五歳の子供の宿泊費の相場を調べて払ってくれ。それに、使用年数が三十年の車のレンタル代も」
 マリサは疑わしげにに彼を見つめたが、おかしそうな輝きが目に浮かんでいることに気づいた。「そうするわ。それからここに滞在中、キアと私はできるだけあなたの邪魔にならないようにするわね」
 「幸い、それはさほど難しくない。この家は広いからお互いを避けるのはかなり簡単だ。だが毎晩、夕食にはつきあってほしい。ほかのことはナディーンと取り決めてくれ」
 ここに泊まるのは一時的な手段にすぎない。それにレイフの言うとおりだ。屋敷が広いから、お互いを避けられるだけでなく、マリサが仕事に出かけて帰ってくるころには昼の時間は終わっている。
 となれば、残りは夜だけ……。長い夜になるだろう。キアは毎晩、七時には寝てしまうから。いろいろあったが、毎晩レイフと食事することを思ってひとりでに期待感がわきあがった。マリサはそれに驚き、恥ずかしさも感じた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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