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仮面舞踏会の夜に

仮面舞踏会の夜に


発行: ハーレクイン
レーベル: ハーレクイン・ヒストリカル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ステファニー・ローレンス(Stephanie Laurens)
 セイロン(現スリランカ)生まれ。五歳のとき、一家でオーストラリアのメルボルンに移り住む。大学では生化学を専攻して博士号を取得、その後、夫とともにロンドンに渡り、四年を過ごしたのち、帰国。研究活動に従事しつつ、十代のころから愛読していた歴史ロマンス小説を書き始める。現在ではアメリカでも人気が沸騰し、ベストセラーリストの常連となっている。

解説

 ■求婚者は数かぎりなくあれど、つのる思いはかなわず……。

 ■両親を亡くしたジョージアナは、長年暮らしたイタリアから父の故郷イギリスへと戻ってきた。だが頼りの叔父はすでに他界し、従兄のチャールズが領地を継いでいた。しつこく言い寄る彼を避け、隣の領地へ逃げ込むと……なんとそこにいたのは、社交界の有名な伊達男オルトン子爵ドミニク・リッジリー! もっとも、ドミニクはあくまで紳士の態度を崩さず、すぐさまジョージアナを妹ベラのもとに送り込んだ。二人の口利きで社交界にデビューしたあとは、まさに夢の日々だった。ダンスの申し込みは引きも切らず、毎日のように求婚される。けれどもドミニクのことが思い浮かび、どうしても結婚に踏みきれない。そしてある仮面舞踏会の夜だった。謎めいた紳士に出会い、彼女の胸は高鳴った。仮面の奥に見えるのは間違いなくドミニクの瞳だ。これはどういうこと? ドミニクが誘惑してくるのはなぜなの?

 ■異国育ちで少々変わった美女に紳士たちが殺到、それを見た希代の伊達男は一大決心を……。十九世紀のイギリス社交界が生き生きと描かれます

抄録

 ジョージアナは深く息を吸って言いかけた。「オルトン卿──」
 「ドミニクだ」
 ジョージアナは頬を赤らめ、眉を上げた彼の表情とそのことばにいっそう困惑した。
 「わたしが“いとしい人”と呼んでいるのだから、きみもわたしを名前で呼んでほしい」
 ジョージアナは困惑のあまり何も言えなくなった。
 「さて、なんの話だったかな? ああ、そうだ! キャンドルウィックでクリスマスを過ごすという招待を受けてくれるところだったな」
 できるだけ早く、気持ちの休まるラヴェロに帰ろうというジョージアナの決意は、彼の青空のような目に浮かぶ温かい微笑の前に溶けてしまった。「でも……」
 「でもは言いっこなしだ」ドミニクはぴしゃりと言った。「きみが行ってしまったというので、またふさぎの虫に取りつかれたベラと、暗いクリスマスを過ごすはめになるアーサーとわたしの身にもなってくれ」ちらりと見ると、彼女の愛らしい顔には行きたいという気持ちが読み取れた。ドミニクはベラの体調について説明するのを控えた。そのことは、今後、必要に応じて切り札にするつもりだった。「そんな無慈悲なことはしないでくれるだろうね」
 音楽がやんだ。あたりが静まり、向かい合って立ったふたりの視線がからみ合った。ドミニクはほほえみ、長い指でジョージアナの耳にかかる金色の巻き毛に触れた。その指は、意思あるもののように髪に沿って彼女のあごへ下りていった。
 その感触に、ジョージアナはぞくぞくするような喜びに震えた。
 ドミニクは弓形の眉の下の大きな輝く目を見つめ、無意識のうちに彼女を安心させようとした。「何より」彼の声はささやくほど低かった。「きみには逃げ帰らなくてはならない理由がない」
 ジョージアナはそのことばに二重の意味を感じ取った。彼は、自分が差し迫って帰る必要がないことを知っている。そして同時に、彼から逃げる必要がないことも。
 「来ると言ってくれ。キャンドルウィックのクリスマスは、きみの期待以上だと約束するよ」ドミニクは請け合った。
 彼の深い瞳の色が求めている答えはただひとつだ。ジョージアナはうっとりとうなずいている自分に気づいた。
 ドミニクは輝くような笑顔で応えた。その温かさが全身にしみとおるのを感じながら、ジョージアナは彼が手を取り、自分の腕にかけさせるがままになっていた。
 ほかの組はフロアを出て、夜食の用意された部屋に向かって歩きはじめている。ドミニクはちょっとしたしぐさで、従僕にシャンパンのグラスをふたつ持ってくるように命令した。
 経験豊富なドミニクは、ジョージアナと過ごす夕べを十分に楽しめるよう、すでに計画を練っていた。しかも、人々の口の端に上らないようにしなくてはならない。従僕がグラスを持って戻ってくると、ドミニクはひとつをジョージアナに渡し、もうひとつは自分で持って、込み合っている夜食の部屋を避けて、舞踏室の入り口のほうに引き返した。
 シャンパンの泡が喉をくすぐるように下りていくのを味わいながら、ジョージアナは黙ってドミニクに従い、やがて彼が舞踏室の外に連れていくつもりだと悟った。彼女は顔を上げ、どこへ行くのかとききたそうな目で彼の目を見た。
 ドミニクは微笑した。「きみがマシンガム家の絵のコレクションを見たいだろうと思ってね。非常にすばらしいものだし、きみの父上の作品もたくさんあるとのことだ」
 完璧な計略だ。ジョージアナは父の描いたマシンガム家の当代の人々の肖像画を見たくてたまらなくなった。この騒ぎの中では、ふたりがいないことに誰も気づくはずはないし、ドミニクはあらかじめマシンガム卿に、妹が世話をしている女性に階下の回廊や図書室に飾られている肖像画のコレクションを見せたいのだがと申し入れ、許可を得ていた。
 ジョージアナは心から楽しみ、伸び伸びした気持ちですばらしい絵を見て回った。目の肥えた彼女はその中の多くの作品の価値を見抜き、賛美した。
 ジョージアナが父の描いた肖像画のひとつの前に立っているあいだ、ドミニクは黙って彼女が思いにふけるままにしておいた。
 長いあいだ、見慣れた筆づかいのあとを見つめてから、ジョージアナはため息をついてドミニクのそばに来た。そして今は真剣な彼の顔におずおずとほほえみかけ、物問いたげに見上げた。彼に手を取られても、ジョージアナはされるがままになっていた。ドミニクはその手を持ち上げ、ジョージアナが驚いたことに軽く唇を触れてから、自分の腕にかけさせた。ジョージアナはいつもは何も考えることができなくなるほど心を震わせるこの男性のそばで、完全にくつろいだ気分でいた。
 話す必要を感じないまま、ふたりは階段を下りて、市松模様のタイル敷きのホールを横切り、図書室の入り口に来た。ドアは開いていて、マシンガム卿の客たちに対する心づかいを示すグラスや瓶がトレイに置いてあった。中には誰もいない。ジョージアナを通すと、ドミニクはドアをそっと閉めた。


 *この続きは製品版でお楽しみください。

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