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オニキスは誘惑の囁き

オニキスは誘惑の囁き


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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解説

 侯爵であるおじの厚意で社交界デビューの機会を得たイザベラは、平穏な結婚を望んでいた。情熱がもたらす身の破滅は、母の過ちと惨めな生活から痛いほど学んでいる。イザベラは代わりに、魅惑的な死神と令嬢の恋物語を小説に描いて満足していた。そんなある夜、舞踏会でふいにざわめきが静まり、完璧な装いのブラック伯爵が登場した。初めて見る悪名高き伯爵は謎めいた魅力にあふれ、危険そのもの。妖しい死神のような漆黒の髪と青い瞳の伯爵にイザベラが目を奪われていると、彼は群衆を割り、まっすぐ彼女のもとに向かってきた。

抄録

「彼から結婚を申し込まれたわけではないのだろう?」イザベラはむっとして顔をそむけたが、ブラックはイザベラの瞳をのぞきこんで唇と唇を近づけた。今や親指は下唇の輪郭をなぞっている。「彼が君に対する欲望を示したことがあるか?」
 イザベラの心臓は激しく打っていた。そして、手は、なんてことだろう、彼女の手はいつの間にか上がり、ブラックの長髪を指で梳いていた。ブラックは目を閉じていたが、やがてゆっくりとまぶたを開いた。緑色の斑点が以前にも増して輝き、瞳のターコイズ色がますます濃くなっている。
「君に歓びの味を与えてくれたのか? 男の腕に抱かれなければわからない歓びを垣間見たことがあると?」
「いいえ」イザベラは答えようとしたが、しゃがれたあえぎ声にしかならなかった。
 ブラックはもう一度親指で彼女の唇をこすった。キッド革が彼女の湿った口に沿って滑らかに移動し、唇を割って口の中にまで入ってきた。キッド革に覆われた指の先端を唇の内側で感じる。しかし、今度はゆっくりでも、官能的でもなかった。もっと力まかせで、直接的で、支配的だった。イザベラは体を震わせた。恐怖を感じているわけではない。欲望を感じていた――体が彼の体に本能的に反応していた。「僕の腕に抱かれたらどんな気分になるか、君に教えたい」
 ブラックの瞳の奥をのぞきこみながら、イザベラは唇をなめた。急に口が渇き、コルセットとドレスの胸当てがきつくて息が荒くなってくる。「伯爵様、こんな向こう見ずなこと」
「向こう見ずで、危険で、無責任。そのとおりだ」ブラックはそう言いながら、イザベラにゆっくりと自分の胸を押しつけてきた。彼女を容赦なく馬車の背もたれに押しつけ、のしかかるように迫ってくる。「だが、やむをえないことであり、必然であり、避けられないことでもある」
 ブラックの顔が面前に迫ってきた。まるで夢を見ているかのように、自分の腕が上がっていくのを感じた。彼を押しやるつもりだったのに、いつの間にか手が彼の肩を伝って、彼の髪に指をからめていた。「避けられないこと」イザベラはなまめかしい声で繰り返した。
「そうだ」ブラックは口をゆっくりと下げてきた。「君がどこへ行こうと、僕はついていく。君を捜し出す」
「死神のように」イザベラはまぶたを閉じてブラックのキスを待った。「死神は人間が姿を隠していても見つけてしまうの」
 冷たい風が二人の体のあいだを吹き抜けた。目をさっと開けると、ブラックは急に彼女から身を引いていた。イザベラが体勢を立て直すよりも早く、彼は反対側の椅子に戻り、冷ややかな目で彼女を見つめていた。「到着だ、ミス・フェアモント」彼の声にはもはや欲望のかけらも残っていない。「よい午後を。頭痛がすみやかに回復することを祈る」
「伯爵様?」イザベラは混乱していた。キスをされるのだとばかり思っていたせいで、いまだに息が荒い。私、何かした? あまりに大胆すぎたの? 淑女らしく、抵抗すべきだったのかしら。
 二人の視線がぶつかり合った。ブラックはさっと彼女に向かって身を乗り出し、両手で顔を挟んだ。「死神は常に生きた人間のあとを追う影だと言われている。だが、君を見つけることはない。僕が誓う。ただ、気付け薬にはくれぐれも注意すると約束してほしい」ブラックは激しい口調で言った。「なぜならば、万が一、死神が君のもとを訪れ、その頬の薔薇色を無理やり奪うようなことになっては、僕はとても耐えられないからだ」
「お約束しますわ」イザベラは心から心配してくれている彼の表情と言葉に畏敬の念をおぼえた。
「誓ってくれ」ブラックはまるでキスをしようとするかのように首を傾けながらささやいた。「僕に誓ってほしい、イザベラ」
「お誓いします」
 するとブラックはイザベラの口の高さまで口を下げ、そっと、ゆっくりと、唇をこすり合わせた。一度、そしてもう一度。回を重ねるごとに、二人の唇はぴたりと重なっていた。ついにイザベラがあえぎ声をあげると、ブラックは彼女の唇を開いて舌を滑りこませ、まるで渇望していたかのように彼女をむさぼった。
 どうすればそういうキスを返せるのか、イザベラにはわからなかった。息ができず、動くこともできない。できるのは、重ねられた唇の滑らかな感触と自分の舌にからまる彼の舌の動きを楽しむことだけ。彼が求め、探り、見つけるのを感じる。イザベラも同じことがしたかった。けれど、し慣れないことをしてキスを終わらせたくはない。だからイザベラは、されるがままになった。キスをされ、唇の奥を舌で探られ、なめられた。ブラックのキスの音、荒い息、そしてイザベラの柔らかで、なまめかしいよがり声。
 どれくらいキスをされていたのかはわからない。不意にキスの熱烈さが衰え、ブラックが体を引こうとした。イザベラは思わず、かぶりを振った。
「ベラ」ブラックは軽く唇を合わせて、舌で彼女の口の周囲をからかうようになぞりながら、低い声で言った。「向こう見ずで、無責任で、避けられないことだ」
「やむをえないことよ」イザベラはキスを返しながら吐息をついた。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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