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真面目ちゃうちゃう 可朝の話

真面目ちゃうちゃう 可朝の話


発行: 鹿砦社
価格:1,200pt
形式:XMDF形式⇒詳細 
対応端末:パソコン ソニー“Reader”
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著者プロフィール

 月亭 可朝(つきてい かちょう)
 落語家。カンカン帽にちょび髭、メガネで、ギター片手に「嘆きのボイン」「借金のタンゴ」などを歌う。
 神奈川県横浜市出身、昭和33年、三代目林家染丸に入門。昭和34年、林家染奴の芸名で落語家としてデビュー。その後、桂米朝に再入門し桂小米朝と改名。昭和44年、月亭文都の屋号である月亭を襲名「月亭可朝」となる。

解説

 関西が生んだ奇妙な落語家・月亭可朝。飲む、打つ、買うを人生のモットーとして独自のスタイルで舞台や、事務所を賑わせてきた。あの芸人の意外なハナシ、吉本興業の行方、そして可朝自身の女道楽……など、誰も知らない上方芸能裏面史を初公開!

目次

まえがきに代えて


第一章 人の縁で芸能界入り
 ミュージカルスターを夢見た日
 スカウトされて芸人の道へ
 晴れて染丸師匠に入門
 命名「林家染奴」
 染丸師に教わったこと
 飲む打つ買うは芸人のクスリ
 サインは断ったらアカン
 サインは時と場所が問題
 女性問題で染丸師を破門
 気配りの米朝師
 桂枝雀君を悼む
 月亭可朝誕生
 『嘆きのボイン』誕生秘話
 酔って選挙に立候補
 いろんな師匠がおいでです
 東京は協会、大阪は客が決める「真打」


第二章 ギャンブルほど素敵なものはない
 「ヤクザのみなさん、こんにちは!」
 野球賭博で一世一代の賭け
 シャレのつもりが家丸焼け
 楽屋に「ご用だ!」の声が響いた
 ポーカーから生まれた『嘆きのボイン』
 ロレックスをはめる理由
 芸人の素顔あれこれ
 マイクの使い方あれこれ
 芸と遊びはワンセット
 新幹線の即席病人
 失敗談は果てしなく……


第三章 吉本興業と芸人たち
 「吉本興業」の思い出あれこれ
 桂三枝君と若手芸人
 萬屋錦之助さんの侠気
 吉本興業に未来はあるか
 ダウンタウンに殴られたら殴り返せ!
 素顔の芸人達
 「アホの坂田」君は人情家
 おもろい会社 それは吉本
 やすし君のクビ
 おもしろい芸人達
 『怪談 梅田花月劇場』
 口が軽いのは芸人の業
 若手芸人達に一言
 運と実力
 鉄百八十トンが何やねん
 サルを舞台に乗せることについて
 チンチン顔見せ代二万円也
 新人は舞台で遊べと言いたい
 吉本新喜劇


第四章 女道楽も命がけ
 CMのおかげで命拾い
 可朝主演『逃亡者』
 饅頭怖い、女も怖い
 初体験は高校二年生
 スリルにはまった男ありき
 「外泊許可をちょうだい」
 鬼より怖い女の勘
 バチが当たることもある
 禍福は糾える縄の如し


第五章 可朝の日々雑感
 A型急性肝炎で緊急入院
 北野武監督作品は駄作である
 お笑い芸人とは何か
 芸人の善意と欺瞞
 横山ノック大阪府知事
 三道楽に極まる日
 人間国宝・米朝師匠
 事業家としての私


あとがきに代えて

抄録

 「親が死んでも、舞台に穴を開けてはならん!」
 これは楽屋の、伝統的戒めですわ。いったん仕事を引き受けた限り、約束の時間に現場まで自分の身柄を運ぶのが、芸人の主な仕事と言えるかもしれません。
 兵庫県の姫路へ、仕事に行くために新幹線を利用した時のことですわ。ちょっとでも早よ着くやろと、予定より一台前の列車に乗ったんやけど、これが大間違いやった。その列車は、岡山まで直通で、姫路には停まらんかったんや。目的地はわかっているのに、そこからどんどん遠ざかっていくというのは、たまりまへんで。
 そやけど何とかせんことにはいかん、そう思うて言いましたわ、その仕事の剣企画の事務の人が付き添うてくれてたんです。
 「キミ、すまんけど急病人になってくれ。腹痛でも何でもええさかいに。俺、車掌さんに頼んでくるわ」
 そう言うて、車掌室に行きましたんや。
 「実は私の連れが、急病で座席で倒れてますねん。何とか姫路で下ろしてもらえまへんやろか?」
 「わかりました。座席はどちらですか?」
 この車掌さんの返事に、助かった! と思いましたがな。席に戻ったら事務の人が、「ウ〜ン、ウ〜ン!」と唸りながら、のたうち回ってるがな。その迫真の演技に、思わず噴き出しそうになりましたで。
 「もうじき、車掌さんが来るさかい、そのまま続けとってくれ」
 そない言うと、頷いてくれた。と思うたら、社内アナウンスが始まりましたんや。
 「ご乗車のお客様の中に、お医者様がいらっしゃいましたら、急病人が出ましたので、十一号車までお願いいたします」
 それを聞いた事務員さん、横目で私をジロリ。まさか、こうなるとは知らんなんだ。
 そのうち、お医者さんがゾロゾロと来るわ、来るわ。岡山から東京の医学会に行った帰りのお医者さんが、二十人近く団体で乗ってはった。そのお医者さんが全員、駆けつけてくれたんや。
 事務員さんは仰向けにされて、脈を計るの熱を計るの、果ては腹を押さえて「ここは痛いか?」と完全に病人扱い。事務員さんもご苦労なことで、ギューギューと腹を押さえられる度に、「ヒェー、ヒェー!」と悲鳴を上げる。
 診察の後で、お医者さんが言いはった。
 「これやったら、岡山まで大丈夫ですわ」
 「そやけど、もしものことがあったら大変なんで、一刻も早く手当をしてやりたいんですが」
 「心配せんでもよろしい。岡山に着いたら、ええ病院を紹介しますから」
 それを聞いていた事務員さん、先刻よりも数段大きな声で、「ウ〜ン、ウ〜ン!」。私かて必死ですがな。
 「何とか、姫路で降ろしてもらえませんか?」
 そない言うた瞬間、列車は姫路駅をビューッとばかりに通過してまいましたわ。名案も水の泡なら、仕事も完全にパーッ!
 かというて、車内をあれだけ騒がせたんやから、周囲のお客さんの目もあるし今更、病気を止めるわけにはいかん。岡山駅に着くまで、事務員さんは寝たままで唸り詰め。私かて、傍らから時々、「大丈夫か? 痛まへんか?」と声をかけとったんです。
 オチは、岡山のお医者さんは名医揃いということで……。

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