『ブレンダ』さんのレビュー

次の20件 →

リオの夜は熱く 著: ジェニー・ルーカス 翻訳: 結城玲子


★★★★★ 5
『一夜の恋』のはずが、『情念』になるとは…これを読み始めて、すぐこの言葉が浮かんだ。リオの風景描写を上手く絡めて、『一夜の恋』がお互いを追い求める姿に重なっていく。ジェニー・ルーカスを何作も読んでいるが、台詞一つにもリオの空気を存分に、読者は感じることができるだろう…2人を取り巻く登場人物に他の作品のヒロインを、さりげなく出しているので、何作か読んだ人は、『あのヒロインねっ…』とすぐ判ると思う。コミックも併せて読むと、また違う味わいになるので、それからまた、原作を読み返しても、よいのではないだろうか。 (2013-08-27)


プロポーズは禁止 恋人はメールオーダーで 著: ヴィッキー・L・トンプソン 翻訳: シュカートゆう子


★★★★★ 5
「恋のルールを忘れたら」の関連作かな?と思ったほど、恋に不器用?なヒーローだった。今回も株のブローカーとしての腕は一流なのに、関係を持つと女性の『アラ』が気になって仕方ない、弱気な面を見せるどこか憎めない彼の物語。もしかして「恋のルールを忘れたら」のヒーロー・リンクとマークは、同じ職場の違うフロアにいるのかも…と思わせたかった?とも考えた。株価の動きには敏感な彼でも、女性と向き合うと自分の考えを、押し付けてしまう。観かねて親友が、提案した『策』が題名になった。一見華やかに見える金融業界でも、こんな彼が実在しているかもしれない!と、読者を引き込む書き方は、巧だと思う。今回もトヨタの高級車ブランド『レクサス』が登場して、いい味付けをしている。先に挙げた「恋のルールを忘れたら」と併せて読むと、彼らの生活を追体験したような、満足感が出てきた。親友とヒロイン姉との恋物語もあるので、まだ続きがありそうで楽しみだ。 (2013-08-17)


恋のルールを忘れたら 著: ヴィッキー・L・トンプソン 翻訳: 駒月雅子


★★★★★ 5
先にコミックを読んで、元気過ぎる?ヒロインに振り回されながらも、『運命の女性』だと気付いたヒーローの葛藤(かっとう)を原作でも読んでみたいと思った。わたしは、先に原作→コミックの流れが多いけど、これはどちらもピリリとスパイスが効いて、味わい深い。今まで付き合った女性たちにはない溌剌(はつらつ)とした色気を感じた彼が、彼女一筋にしだいになっていく過程がしっかり書かれていておもしろい。セックスシーンは確かに多いが、彼女が彼を『飽きさせない』ように、懸命に考えた結果が、このシーンに凝縮されたのではないだろうか?この物語の中でトヨタの北アメリカ、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、 オセアニアなどの全65か国で展開している高級車ブランド『レクサス』をさりげなく登場させているのが、一番嬉しかった!!ハーレクインを長く読んでいるが、こんなにも物語にしっくり馴染むなら、もっと作家たちに『日本』をアピールしてもいいと思う。初めて読んだけど、思わずクスリ!!と笑ってしまう所が幾つもあった。他の作品も読んでみようと思う。、 (2013-08-15)


シンデレラの出自 著: リン・グレアム 翻訳: 高木晶子


★★★★★ 5
リン・グレアムらしい踊るような台詞を、堪能できる作品。冷たく傲慢に見えるヒーローの『淋しさ』を、ここまでていねいに書けるのは、さすがだと思う。2人に共通する家族の『絆』を、連続テレビドラマにすぐなりそうな完成度で、文章にできる作家は、なかなかいないと思う。どうしても彼の心模様の移り変わりを重点に、わたしは読んでしまうが、この物語の中で一人は共感できる人物がいると思うので、その人物の視点で読むのもいいのではないか。もし続きを書いてくれるのなら、ぜひお願いしたい!! (2013-08-09)


復讐のシチリア 著: ジェニー・ルーカス 翻訳: 小林ルミ子


★★★★★ 5
復讐の舞台は、シチリア島。自らの復讐の仕上げに、捜し出したのが、ヒロインだった…彼女と過ごすうちに復讐とは違う感情が芽生えたことを気づく彼。しかしそれが何なのか?、最後まで謎として話は進んで行く…よくある復讐モノか?と思ったが、何回か読み返すうちに少年期に彼が受けた『トラウマ』が、原因だと解ってくる…多感な年頃に、ヒロインに関わる人物に負わされた事件を、成人してからヒロインを『楯』にして戦う彼はある意味、このためだけに生きてきた…見方によっては、哀しい『性』を併せ持つ兵(つわもの)ではないだろうか?ハーレクインでは、よくある『陰のあるヒーロー』だが、最後まで復讐の意図を明かさない意志の強いヒーローは、珍しいと思う。一回では解り難いが、面白さが理解できると、癖になる作品だと思う。 (2013-08-05)


ドクターは敵? 救命病棟は眠らない III 著: マリー・フェラレーラ 翻訳: 堺谷ますみ


★★★★★ 5
『救命病棟は眠らない』シリーズ2作目、今回のヒーローは整形外科医。一流の技術を惜しみなく発揮しながら、『獲物を追う狼』の如く恋を繰り返す彼の前に現れたのが、新任の同僚のヒロインだった…。『自分に興味を持たない女性なんていない…』と思っていたのに、初めから素っ気なくされて、彼の本能に火を点けてしまった彼女に読者は、『どのようにして、彼が振り向かせるのか?』の計画を堪能出来る。浮名を流していても、何故か本気になれなかったヒーローの戸惑いが、ラストシーンまでしっかり前面に出ているので、わたしには何回読み直しても、彼の『一目惚れ』にしか思えなかった…。ヒロイン目線で読むとまた違うだろうが、まるで『初恋』のように悩む彼を、応援する物語中の登場人物になれると思う。前作と同じ病院が舞台なので、1作目のヒロインと肝っ玉母さんの看護師長や、病院の生き字引的なスタッフもさらりと出てくるので、今後のシリーズも期待できると思う。 (2013-06-28)


モスクワの夜は熱く 著: ジェニー・ルーカス 翻訳: 飛川あゆみ


★★★★★ 5
どうして、彼女には効かないのか?、『誘惑』のシナリオは、完璧に練り上げたはずなのに…と訝るヒーロー。ライバル企業の経営者の彼が言い寄るのには、何か裏がきっとあるはず?と警戒するヒロイン。2人の出逢いを、お互いに裏を読もうとする、書き出しから始めたことで、『何があるんだ?』と、読者に興味を湧かせるのに、成功したと思う。自分の魅力と財力に、見向きもしなかった女性は、彼にとって初めてだったのだろう…この時点で先に一目惚れしてしまったのかな!!歳の離れた実妹にも話していない『家族への想い』を、ヒロインの曇りのない眼差しと、温かい掌に引き出され、話してしまったヒーロー。この辺りの描写は、さすがジェニー・ルーカスだわ!!と、唸ってしまった。翻訳も上手なので、しっかり恋模様を楽しめた。わたしは、ヒーロー目線で読んでいったので、練り上げたシナリオ通りに行かない焦りと、逢う度ごとに彼女に惹かれる、止められない『熱い想い』の間で思い悩む、『恋するただの男』の素顔をかいま見て、とても読み応えがあった。人によっては、ヒロイン目線から読む人も、いるだろう…ライバル企業の経営者の彼に、惹かれてはまずい…と、自分の立場を見極めてあしらっていたはずが、しだいにヒーローの素顔を知っていくうちに、『抗えない想い』に気付いていく。コミックもあって、こちらも一度読んだら、何回も読み返したくなるほどの秀作だ。併せて読むと、より効果的に作品に浸れると思う。 (2013-05-25)


不実なドクター 救命病棟は眠らない IV 著: マリー・フェラレーラ 翻訳: 卯月薫


★★★★★ 5
『どうして、今頃現れるの?』と訝るヒロイン。『まさか、彼女に出逢うとは…』と思わなかったヒーロー。6年の時間の流れが、医療用語を巧みに入れながら、リズミカルに進んで行く。お互いの『熱い想い』が蘇るのを止められないままに、時間だけが過ぎて行く時、ヒロインに言い寄る同僚から護ったのは、他ならぬヒーローだった。彼にとって護るべき最愛の女性(ひと)が、ヒロインなのは変わっていない…ただそれが、『6年後どう変化したか?』を、サスペンスドラマに読者を、参加させるようなシーンで紡ぐ書き方に、マリー・フェラレーラの上手さがあると思う。ヒロインにどうしても言えなかった『秘密』を、ヒーローが話したシーンは、『やはりそう来たか…』と思えるほど、一人の恋する男に戻っていたのが微笑ましい。2人を取り巻く病院のスタッフや、彼の仲間たちのことも、きちんと書かれているので、飽きさせない。翻訳も上手いので、サクサク読める。サスペンス色が強いドクター物に興味があるなら、読んでみて欲しい。 (2013-05-05)


砂漠に降る雪 著: スーザン・マレリー 翻訳: 渡辺千穂子


★★★★☆ 4
プリンスが養女とした姉妹のナニーとなったヒロイン。砂漠のプリンスの地位にあるヒーロー。スーザン・マレリーのシーク物語のシリーズの中でもこの話は、彼女のナニーとしての仕事ぶりと彼に惹かれまいとする葛藤が、巧みに書かれている。姉妹を引き離そうとする族長に、果敢に立ち向かう場面を、初めに劇的に持って来たことで、読者に2人の出逢いを鮮明に印象づけたように思う。孤児として育ちながらも、何事にも懸命に取り組む彼女は、彼の家族や対立しかけた族長の家族にも、すんなり溶け込み、本来持つ『隠された美しさ』で彼を引き寄せていった。2人を取り巻く国王の妹や、族長の娘の存在が、スパイスを降りかけいい塩梅(あんばい)に仕上げている。物話中に国王の妹と隣国の王との『大人の恋』や、ヒーローの兄弟をさりげなく出し、続きがあると思わせる設定は、人気作家だけのことはある。翻訳も上手なのでサクサク読める。星一つ減点は、国王の人物設定にもう少し捻りが欲しかったので。一人の父親としての心情が、もう少し踏みこんで書かれていたら良かったのに…と思った。 (2013-05-05)


シークの国のシンデレラ 著: スーザン・マレリー 翻訳: 瑞野はるみ


★★★★★ 5
亡くなった父の代わりに、王子の車を修理することにしたヒロイン。整備する様が気になり、何回も仕事場を訪れるヒーロー。『偽りの恋人』のはずが、しだいに惹かれていく彼女。付かず離れずの距離感を保ちながらも、『一番気になる存在』になっていくのを止めようとしない彼。2人の会話の絡みが、仕事の話から微妙に恋している2人の甘い雰囲気に変わる件(くだり)が、巧みだと思う。「砂漠に降る雪」の続編と紹介があったが、恋人と別れこの国に来た彼女の心の動きや、王子としての彼の苦悩もさりげなく触れてあるので、物語中に登場する2人の周りの人々に、読者本人がなっているような気分が、味わえる。『シンデレラ』物語ではあるけど、読者の身の周りでもあるかもしれないな…と感じる作品だと思う。 (2013-04-20)


御曹子とシンデレラ 著: マリー・フェラレーラ 翻訳: 佐藤たかみ


★★★★★ 5
彼女は『シンデレラ』なのか?親友の妹に逢った時、ふとそう感じてしまったヒーロー。憧れの男性だけど、彼にとっては親友の『妹』でしかないのね…と半ば諦めていたヒロイン。そんな2人を結びつけたのが、実兄をはじめとした周りの人々だった…。“独身者オークション”の司会を務めながら、自分には縁のない世界だわ…とイベント成功のために時間をやり繰りするヒロインを、傍から見ていた実兄と彼。今まで知らなかったヒロインの素顔をかいま見た彼は、手を抜かず懸命に取り組む一途さにしだいに惹かれていく。物語中にヒロインを『シンデレラ』みたいだ…とヒーローが感じる場面がある…題名にもあるように、『シンデレラ』を織り込みながら、彼の想いの移り変わりを上手く描いているので、『これってヒーローの一目惚れかもね…』と解釈してもいいだろう。『自分では地味だ…』と思っていたのが、ヒーローや実兄はじめとする周りの人々とっては『魅力』に映るというのは、よくある設定だ。この話の中では、デートする度に新しい発見をする彼の心模様が、弾むような会話を入れて、効果的に書かれている。この書き方だと、読者も『次の発見は何?』と読み進めるのが、楽しくなる。はっきり悪役と判る登場人物はいないが、人物設定がしっかりしているので、読者もその場にいるような臨場感を味わえる。このシリーズの続編もあるらしいので、引き続き読んでみたい。読み終わって、ほっこり…クスリと笑みが残る秀作だと思う。 (2013-04-18)


欺かれた夜 著: ダイアナ・ハミルトン 翻訳: 井上京子


★★★★★ 5
ナニーとしてヒーローの姉の館で働いていたヒロイン。その館所有の浜辺を散歩している時に、彼女を見つけてしまったヒーロー。設定はありきたりだが、『欺かれた夜』の名そのままの事件が、彼女に降り掛かる…濡れ衣を晴らす手だてもなく、彼の前から姿を消した彼女が、『一番逢いたくない人物』と再会した雨の日を境に、2人の世界が交わり始める…消えた後も、彼の記憶に鮮やかに刷り込まれていた彼女に再会した時、自分が彼女に強く惹かれ続けていることに、改めて気付いた…『なぜ、あの時消えてしまったのか?』を自答するうち、婚約者が一枚噛んでいたことに気付いてしまう。婚約者よりヒロインに惹かれる想いを隠し切れない彼を見て、『一目惚れ』だったんじゃないの…とクスリと笑わせる翻訳がしてある。何作もハーレクインを読んでいるが、『傲慢』なヒーローで『一目惚れ』の設定でも、惹かれる心を隠し切れない様(さま)の書き方が違うのが面白いと思う。この値段で、これだけの物語が読めるのは、読者にとってうれしい。オススメしたい。 (2013-04-16)


孤独なバージンロード 著: リン・グレアム 翻訳: 小林町子


★★★★★ 5
聞いてはまずい会話を聞いてしまったヒロイン。産業スパイと決めてかかるヒーロー。よくある設定だが、リン・グレアム作品の中で一番好きな話。畳かける2人の心模様を書かせたら、数あるハーレクインの物語でもピカイチだと思う。傲慢な彼が見せる仮面の裏には、不信感が渦巻いていた。貧しいながらも自分で切り開いて来た彼女の強さに、しだいに惹かれて行った彼は、今まで目を背けて来た感情に気付く。『女は上辺だけしか見ない…』と吐き棄てて来たのに、ヒロインに対しては今までの方式通りに進まなかった…。2人の会話も話が進むにつれて、彼女に言い負かされることも出てくる…『こんな小娘に…』と計算通りに行かない苛立ちから、段々一人の男として、ヒロインを求める熱い想いへ育っていく。最初に読んだ時は、彼の独りよがりな作戦ばかりが気になったが、次に読むと、孤独と経営者としての重圧に喘ぐ、一人の男の悲哀を、はっきり読み取ることができる。一気に読むには重い内容だけど、読み出したら止まらない面白さもある。リン・グレアムは苦手と思っている読者に、ぜひ読んでみて欲しい作品。 (2013-04-13)


身代わりのシンデレラ 著: エマ・ダーシー 翻訳: 柿沼摩耶


★★★★★ 5
同乗していた友人を事故で亡くし、彼女と間違えられてしまったヒロイン。従妹が亡くなったことを知り、彼女を『身代わり』としてイタリアに連れて行くことにしたヒーロー。出逢いからこれぞハーレクインの『王道』か?と、言うような怒涛の滑り出しで、しっかり読者を引き込む書き出しは、最終章まで飽きさせない。傲慢な彼の『言いなり』になりつつ、しなやかに翻(ひるがえ)す対応を取っていく、彼女の強さを初めに気付いたのは、亡き友の祖父だった。そして孫の彼が彼女を愛していると、確信したのも祖父だった。余命わずかの祖父を落胆させたくないと、彼女を『身代わり』に仕立てたはずが、しだいに惹かれていく心を、冷たい『仮面』で隠し、威圧することで優位を保とうとする姿を、鮮やかなイタリアの豪邸の景色を交えて表現している。一見説明的に陥りがちな背景もこの書き方なら、ヒーローの心模様の移り変わりとともに読み込める。エマ・ダーシーの作品の中でも、ヒーローの心情が細やかに書かれているこれは、読んで損はないと思う。初めの出逢いで、既に『一目惚れ』をしていたのを、最後まで口に出すのを躊躇うあたり、『ラテンヒーロー』そのものかな(笑)と思ってしまう。読み応えはあるが、あまりにも彼の『傲慢度が強い』…と思う読者もいるだろう。しかし意地悪な従妹も健在だし、中弛みもほとんど感じさせない。読み終わって『心地良い疲れが残る』。『ラテンヒーロー』大好きな人でなくても、十分楽しめるオススメ作品だ。 (2013-04-13)


熱い手ほどき 著: ローリー・フォスター 翻訳: 片山真紀


★★★★★ 5
『ずっと想っていた彼を振り向かせるには?』と、兄の彼女と作戦を立てたヒロイン。その相手が、自分だとは思わなかったヒーロー。昔馴染みの兄の友人として、出逢った2人。彼にとっては、『妹』のはずだった…『どうすれば彼に振り向いてもらえるの?』、彼女は兄の彼女に援けを求めた。この前まで『妹』だったのに、『急にどうしたのか?』と心配になり、問いただした彼は、彼女が眩しいほどの女性になっていたことにようやく気付く。『さなぎから蝶へ』と…なるように、気になり出したら彼女のことばかり考えていた彼…。思わず『クスッ』とさせるような短い文章を巧みに使い分け、2人の家族をも巻き込み、『次はどうなる?』っていう期待を持たせる、上手い作り方だと感心した。ここに出てくる長兄の恋物語もあるので、関連して読むとより解りやすいが、これ単独でも十分楽しめると思う。 (2013-04-09)


地下室の令嬢 著: ベティ・ニールズ 翻訳: 江口美子


★★★★☆ 4
両親を亡くし、住み込みの仕事に就いたヒロイン。彼女の勤務先で医師として働くヒーロー。住み込みで働く彼女が毎日活き活きとして見えることに驚いた彼が、彼女の部屋を訪れた時から、話は動きを見せる。まさに『小さな幸せ』を一つ一つ噛みしめるようにする姿は、紹介される女性にはなく『新鮮』だったのだろう。この話でも美味しそうな料理やペットのことが出てきて、文章にメリハリを付けている。この作家は、料理内容をきちんと書いているので、普段自分でも作っていたのでは?と思う。物語は静かな進み方だが、2人の会話の流れで、心を通わす想いを読みとれる。穏やかだけどしっかり者の彼女に、しだいに彼が惹かれて行く様子が、ゆったりとした時間の流れとともに書かれていて、読み終わっても美味しいデザートを、楽しんだ後のような感じがした。 (2013-04-07)


幸せをさがして 著: ベティ・ニールズ 翻訳: 和香ちか子


★★★★☆ 4
継母から、ペットとようやく逃げ出して来たヒロイン。雨の中通りかかり、彼女を援けたヒーロー。よくある設定ではあるけど、美味しそうな食事のことや旅先での詳しい描写もあり、すんなりと物語に入り込める。犬と猫の様子もさりげなく描かれ、登場人物の性格を知るのに役立つ。旧き良き時代の時代背景もしっかり書かれていて、ヒーローを呼ぶ時の堅苦しさも感じられるが、それが反対にこの作家の良さだと思う。旅情を誘うような文章を、的確に訳した翻訳者の力量を褒めたい。傲慢なヒーローに疲れた時に、ほっとできる文章だと思う。 (2013-04-07)


アンダルシアの誘惑 著: ダイアナ・ハミルトン 翻訳: 高木晶子


★★★★★ 5
父を探すきっかけは、亡き母が話した父との出逢いだった…父の館で働く家政婦になったヒロインは、名付け親として父を慕うヒーローに出逢う。慣れない仕事よりも不安だったのは、『もし父に拒絶されたら、どうしたらいいか?』彼女が決めかねていたからだと思う…この件(くだり)がていねいに書かれていて、彼が彼女に一目惚れした流れと合わさって、上手い翻訳もあり、すんなり引き込まれる。彼を取り巻く人間関係の中では、彼女のような素直で多くを望まない女性はいなかった…女性に対し斜に見て決めつけて来た彼にとって、『新鮮』に映ったのは間違いない。違う世界にいた2人が逢うパターンとしては、ありふれている…『まさか彼が自分を好いているなんて思いもかけない』のもよくあるパターンだ。しだいに彼女が活き活きして来た時、彼は自分の取った行動に、間違いがなかったと確信できた。彼女が父に逢うシーンでは、父の妻に成り損ねた婚約者が、悪態を衝く言葉をかける…それを彼女が聞いてしまう…という『お決まり』のパターンもあるが、悪役は出てこない。どちらかと言うと彼の想いが強いのが、最後までしっかり続いていた。何作も家政婦物はあるが、アクの強い人間関係に疲れて来たなら、読み終わって、ほっこりくるこの作品はオススメしたい。 (2013-04-06)


十二夜のプロポーズ 著: カレン・ローズ・スミス 翻訳: 雨宮幸子


★★★★★ 5
12歳も年上なのと雇い主と言う関係もあり、惹かれる想いを必死に隠そうとするヒーロー…雇い主の娘のナニーとして住み込みで働くヒロイン。よくある設定の物語だが、彼が自制しようとすればするほど、彼女への想いが溢れ出る様が、上手く書かれていたと思う。娘が父親の自分よりナニーである彼女を慕い、懐いているのを淋しく感じた彼は、娘との時間を作るために娘の興味のある場所や食べ物の話題で娘を振り向かせようとした…それを傍らで見ていた彼女に、『ダメダシ』を食らった時、娘にとって彼女を切り離せないと改めて気がついた。謎めいて私生活を見せない彼女のことが、ナニーとしてだけでなく気になり出した時、彼は一人の女性と捉えるようになっていく…彼女は出逢った時から、一目惚れだったのだが、彼の慎重な振る舞いに自分から言いだせないでいた…彼の3歳になる娘が、実に『天真爛漫』。また彼の実姉も2人を温かく見守りながら、時には弟を急かす『小気味良い』キャラで登場する。この話には意地悪なキャラは、ほとんど出てこない…他の作家のナニー物に比べれば物足りないという読者もいると思うが、ヒーローの心模様を判りやすい翻訳で、読めるのがうれしい。この作家を初めて読んだが、この価格でこれだけの質の高い物語が読めるのは、読者にとって掘り出し物ではないか?まだ他の作品があるようなので、続けて読んでみたい。 (2013-04-02)


大富豪の望み 億万長者に恋して 著: カレン・ローズ・スミス 翻訳: 睦月愛


★★★★★ 5
病気のために精子を保管することは、よくある話だと思う。この話はそのために起こった事例で出逢ってしまったヒロインとヒーローの話。倫理的に難しいこの手の話題を、上手く物語に仕上げた作者の力量にまず始めに拍手を送りたい…。亡き夫の子どもを産むために、クリニックで処置を受けた彼女…クリニックから聞かされた事実は信じられないことばかりだった。一方彼にとっても、この事実は受け入れられないことで、双方子どもの親権を争うか?に見えた。彼女と初めて逢った時、彼は一目惚れしていたのだと思う。過去に付き合った女性に手酷く裏切られ、家族関係にも恵まれなかった少年時代を過ごした彼は、人を信じるのが怖かったようだ。子ども時代のトラウマが、成人後に『愛に臆病になる』のは、よくある話だと思う。彼の場合もまさにこれで、仕事の忙しさを隠れ蓑にして自分の心を鎧(よろい)で護っていたのだ。彼女に逢う度に、彼の中でその鎧が崩れて行ったのではないか?逢った時から惹かれていたのに、素直に態度に表せない彼を、彼女は少しづつ氷を溶かすように、温めていったようだ。隠れた優しさを引きだすには、『太陽』のごとく照らし続ける、彼女のやり方がいいのだろう。『亡くなった夫との想い』ごと彼女を受け入れることができた時、彼には義父と義弟がいる家族ができ、彼を取り巻く人々も仕事以外の関わりが出来ていた。寂しい少年時代を経て未来への『懸け橋』となった娘の誕生へ上手く繋げたと思う。もしヒーローに言葉を懸けられるなら、「善かったね…」と手を握って笑顔で接してあげたい…。読み終わって、何だかほっこりする感じがいつまでも残る、秀作。2人の心模様がしっかり翻訳されていて、また読み返したくなること請け合いの作品である。 (2013-03-26)


次の20件 →